●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
もどきさん、大統領就任式見ながら去来するもの沢山ありました。
アメリカ幻想
見ました? オバマ新大統領の就任式。
アメリカ連邦議事堂を囲む人・人・人。
歓喜の顔、涙の顔、祈りの顔・顔・顔。
笑顔の若者、肩車の親子連れ、防寒具にくるまれた老人。
あの熱気と希望と誇りに満ちてアメリカ国民が興奮している光景にはちょっとうらや
ましいような妬ましいような気持ちになりました。
若いとき、私も人並みにアメリカにあこがれた時期がありました。
自由で平等で合理的でカッコいいアメリカ。
多様性を容認する懐の深さ。
人種・性別なく能力があれば這い上がれるアメリカンドリーム。
キリスト教に裏打ちされた相互扶助の精神。
夫婦単位を尊重し、家庭第一主義の人間性重視。
Iユm proud of・・・を気軽に口にする率直さ。などなど。
長じて、これら憧れた部分には皆裏があることを知りました。
実は人種差別は隠然とあるし、多様性を認めないと収拾がつかないほどの他民族国家
なんだし、能力主義は貧富の格差を大きくしたし、キリスト教は衰退しつつあるし、
夫婦単位の行動はお互いを監視する機能になって、離婚率は高いし、Iユm proud of は
一国主義を増長させました。
国は民族性、風土、歴史、宗教、思想、習慣など、もろもろの要因が働いてその国ら
しさが築かれます。でも、できあがった価値観は時代によってどんどん変化するので
すね。いつのまにか正しかったことが誤りに、真実だと思ったことが虚偽に・・・
まったく、♪かわる、かわる時代はかわる♪ですね。
今世界の注目の星、希望の星であるオバマ大統領だって時代が生んだ英雄です。いつ
また、ブッシュさんのように凋落するかわかりません。
あ、せっかく皆期待しているのに水をさすのはやめましょう。とりあえず、オバマ大
統領にエールを贈りたいのですが、わたしのアメリカ幻想は急速にしぼんでいったの
でせっかく習った英語力も衰えてしまい、Take it easy! That's all right. Hangi-
ng on! しかいえません。