●連載
がたやま娘のひとりごと      文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!

たえちゃん大好きな歌と元気に再会だす。



歌い踊る、元気なおばさん

「ダンシングクイーン」である。

若かりし頃、大親友のミキと二人で大酒飲んで酔っぱらって、そのものすごい勢いでカラ

オケに行って、ミキがテーブルの上に立って踊り歌ったのが「ダンシングクイーン」だっ

た。店員さんが飲み物を運んで来てくれたときの凍り付いた表情。我々、酔っぱらいとは

いえ独身乙女である。いちおうそんな時でも理性のカケラが働く。踊りを止め、それでも

テーブルの上に直立不動で歌い続けるミキを、私は尊敬の眼差しで見上げていた。

アバの「ダンシングクイーン」は、私の大好きな歌になった。


そして夫と一緒に、念願の「マンマ・ミーア!」を観てきた。

もしかして、踊り出したりはしないだろうか、または感動のあまり泣いたりはしないだろ

うか、などと考えてみて、一応ハンカチを膝の上に乗せながら観た。

メリル・ストリープは正真正銘のおばさんである。あんなに楽しく歌って踊るのって、す

ごいと思った。歌も素晴らしかった。007であるはずのピアース・ブロスナン氏も、あ

んなにたっぷり歌うとは思わなかった。また、娘さん役のアマンダ・セイフライドさんの

清々しく健康的な美しさと、歌の上手さはピカイチである。彼女を息子の嫁に連れてきた

ら、反対するおじさんやおばさんはいないだろうと思われるほど。ハマり役だと思った。

最初っから映画のペースで進んでいった。これも、ミュージカル映画だからであろうか。

ギリシャの海の美しさも憧れである。

情操の未発達な夫でさえも「思ったより楽しかった。」と言っていた。


地元新聞の映画評に「中年女性がオーバーオールを着ているのでさえも驚きなのに、あん

なに激しく歌って踊るのにも驚きを隠せない」的なことが書いてあった。確かにそうだっ

た。(ただしここの映画評は、田舎の自己顕示欲の高い人が、わざと独断と偏見を持って

辛口評を書いているように感じて、個人的にはあまり好きではない。)


本物のおばさんたちが、「主婦は自分が元気でいなきゃねー!」と大きな声で楽しそうに

言っているのを聞いて、さもありなんと思った。


元気なおばさんを誰も止められないし、おじさんやおばさんになることもまた、誰も止め

られないことなのだ。


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