●連載
虚言・実言 文は一葉もどき
横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
新聞記事から表情を追加のシリーズ、どっから来たのかメタボシンドローム。
新聞ネタ独白シリーズ
肥満差別
会社の定期健診で医者は俺をじろりと見て言った。
「あなたは完ぺきなメタボです。酒はほどほどに。カロリーの低い食事に適度な運
動を心がけて15キロ体重を落としてください」
それだけ言うともう終わりとばかりにくるりと回転椅子を戻しカルテにむかってし
まった。
おいおい、腹囲測定と血液検査だけかよ。心電図は、尿酸値は、腎機能など他の数
値はどうなんだ?
こんな健診なら来年は受けねえぞ。
自治体はメタボ健診実施を義務付けられ、受診率が国の定める目標に達しないと後
期高齢者医療制度への拠出金が増額というペナルティがあるから必死だ。一方国民
の死因トップであるがん検診は努力義務。
なんかおかしいぞ。
メタボ・メタボって最近やたらと神経質になってやしねえか。そりゃ、肥満と病気
に関連があるとしても直接肥満が原因というのはまだ解明されていないんだ。ちょ
っと小太りの方が長寿だというデーターもあるじゃないか。
会社帰りに赤提灯で焼き鳥と焼酎で一杯やる楽しみを取り上げたら、俺はそれこそ
病気になっちまうぜ。
太っている奴は不健康で成人病の予備軍だ、やせることのできない意志の弱い奴だ、
と決め付けている。仕事上でも能力が低いとみなされ、ポジションが下げられたケ
ースもあるという。
これは明らかに肥満差別だ。
女性の場合、これが美意識と重なって、極端なやせ願望が充満してガリガリにやせ
た摂食障害の女の子が続出しているっていうから、こちらの方も問題だぞ。