4/27のねこさん       文は田島薫

シッケーな命名

暑い日があった後、ここんとこずっと寒い日が続いたせいか、ねこさんたちみんな家ん中

にいるようで、どなたも見かけないもんで、事務所が都内にあった時の昔話を。

有楽町線の江戸川橋の地蔵通り商店街わきにあった私の事務所の周囲にはのらねこ(地域

ねこ)さんたちが大勢いて、毎日だれかが遊びに来てたんだけど、20数年もの間にはねこ

さんたちの世代交代などもあり、その中にはボス的なねこさんもいた。そんなひとりに

れわれ事務所スタッフがチャーちゃんって呼んでた小柄だけど風格のある薄茶色のねこさ

んがいて、何度かはねこ日記にも登場させたはずなんだけど、ある時、どっかのねこ雑誌

に地蔵通りのねこさん特集があって、見てみると、チャーちゃんの写真が出てて、商店街

のだれかがコメントしてるんだけど、そのチャーちゃんのことを、「ばかちゃん」ってみ

んなで呼んでる、って。

ま、のらねこさんはあちこち顔出してエサもらってるわけだから、あちこちで勝手な名前

つけられてるのはしょうがないにしても、「ばか」はないだろ「ばか」は、っつーのだ。

愛情込めて言ってるんだろうとは思うんだけど、当時、ねこさん仲間ではボスの座を占め

たお方に対して、どれだけ人間のお前ガエライ、つーのだ、上から目線で「ばか」って、

シッケーにもほどがある、だいたい近所で彼に「ばか」、って呼びかけてるのを私は聞い

たことないし、そのシッケー人間がひとりで言ってるんじゃないのか、こらっ!(って、

そんなに興奮して怒るほどのことでもないんだけど)。

とにかくその雑誌の取材者はわれわれの事務所へ来た方がよかったのだ。


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