9/22のねこさん       文は田島薫

しばられ犬とわたりねこさん

日曜の午後、ちょっと霧雨降ってる中、自転車で図書館へ向かった途中の住宅街。

シャッターの閉まった大きなガレージの前のけっこう広いコンクリのスペースに、

いつもは毛の長い茶色の中形雑種犬がいるんだけど、その日、彼はいなくて代わ

りにくろっぽい雑巾のようなねこさんが寝ていた。


犬はほんとに、図書館行くたび見ると、いつもいつもひとりぼっちでそこに繋が

れ、つまらなそうな顔をコンクリに乗せて寝そべってて、こっちが視線送っても、

彼の方は、吠えもしないし、こっちを見ることもせず、あまりに単調な生活環境

のためニヒルになっちゃってるように見える。でも夏の異常に熱い日に、ガレー

ジのシャッターが開いて、日陰のその中に入れてもらえて車の手入れをする主人

のそばにいた彼は少し微笑んでいるように見えて、私もよかったね、って視線を

送ったら、彼の方もそん時はこっちをちらっと見た。


ところで、日曜のその日であるきのうは、シャッター閉ってて、しばられ犬がい

なかったのはなぜなんだろうか、年に一度の散歩に出かけたのか、それとも、い

つも散歩や旅行に連れてってもらってるんだけど、私が月2回ぐらいの割で通る

時だけたまたまそこにいる、ってだけの話なのかも。

いづれにしても、いつも彼のいるそこの広間は今は留守で、どっかからやって来

たねこさん(またはいつもそのチャンスをねらってる近所のねこさん)、お、寝

るのにすんばらしいとこがあったぞ〜、イエイ、って喜んで寝転がったのだ。


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