●連載
がたやま娘のひとりごと      文はこんのたえこ


地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!

たえちゃんが懐かしい思い出に浸ってるのに、まわりはけっこうドライ。


歴史ある建物 2

それで、続いてうちの向かいの、もう今は20年以上誰も住んでいないお米屋さんがあって、

そこも片付け始めた様子。

角の荒物屋さんと親戚だから、この機会にお米屋さんの方も何かするのかもしれないなぁ、

と思っている。

向かいのそのお米屋さんは、おじいちゃんとおばあちゃんの二人暮らしで、よくうちのおば

あちゃんがお茶を飲みに行っていた。「うちのおばあちゃんいますか?」って呼びに行くと、

お店からおばあちゃんたちがお茶を飲んでいる茶の間が見えるのだった。

お米の他に、ちょっとした駄菓子のような物も売っていて、私もよく買いに行った。幼稚園

の頃だっただろうか、確かペコちゃんのペロペロキャンディが5円だったと思う。5円で買

える駄菓子って、今は無いんじゃないだろうか。しばらくして5円のキャンディが7円くら

いに値上がりしていた。5円玉を握りしめて買いに行った小学生の私は、お米屋さんのおじ

いちゃんに「値上がりしたんだよね〜」って言われて、「そーかー」って考えた思い出があ

る。あと、学校から帰ってきたら食べる、おやつ代わりの鍋でつくるインスタントラーメン

(袋のサッポロ一番みたいなの)、15円とか。

もう、そのまんま、小学生の算数みたいな値段だったね、あの頃。

でも、おじいちゃんもおばあちゃんも亡くなってしまって、お米屋さんも閉めたきりになっ

ていた。亡くなったうちの父と仲良しだった息子さんがいるんだけど、近くではあるが別の

ところに住んでいた。


ある日、お米屋さんの前に、いろんな物が積んであるのを見て、あぁ、息子さんが何か片付

けてるんだな、と思った。そのうち、何か見たことのある物がうちの玄関に置いてあるよう

になった。またかと思ったら、案の定うちの母ちゃんが「向かいの片付けの手伝いしてさぁ、

貰ってきたよ。トイレットペーパーも持って行って良いって言われたから、貰ってきたの!」

ってウキウキと話をした。

いくらトイレットペーパーだといっても、20年以上前のトイレットペーパーでは、お尻がち

ゃんと拭けているのか気になるものだ。もちろん大丈夫なんだけど。


そうしたら、今度は隣の家のおばさんがそのお米屋さんの片付けの手伝いをしているのを見

かけた。何だか嬉しそうだった。


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