11/4のねこさん       文は田島薫

うまちゃんふたたびうなる

秋晴れのいい天気が続いて気持いい昨今なんだけど、ねこさん見たのは、ねこよこち

ょうでどっかのアパートのわきを入り込んで行く途中振り返ったひとりだけ。

さて、ねこにっき、こまったぞ、って思ってると、朝、家の前でねこさんのうなり声、

お、お、お、って外のぞいてみると、前のアパートのとなりの家のへいの上の手前に

うまちゃんが乗ってて、向こう向いてうなってる。

い〜ねい〜ね、どんどんうなっちゃってよ〜、ってしばらく見てると、うまちゃんの

飼い主のバレエ教室の奥さんが使い込まれたジャージパンツで出て来て、うまちゃん

の本名の「みゃ〜」、って叫んでるんだけど、うまちゃんじゃなくて、奥の方へ向か

って言ってから、へいの上のうまちゃんにコラッ、ってぶつまねをしてる。

変だな〜、って思ってると、ひときわ激しくコラッ、って言ってぶつまねしたら、へ

いの上のうまちゃんへいの内側に下りて、どんどん奥へ歩いて行っちゃって、奥さん

の方はへのこっちがわの奥へ歩いて行き、奥へ向かってみゃ〜ちゃんっ、って呼んで

る。どうやら、へいの上にいたのはうまちゃんじゃなくて彼の対戦相手の方だったよ

うだ。うなり声はやまず、奥の方に本物がいるようなので、私も外出て行って、奥さ

んに、うまちゃんとねこ間違えしたこと言うと、奥さんもこのあいだ間違えた、って

言った。うまちゃん、奥の方に追い込まれててしっぽを太くふくらませて興奮してう

なってる。ちなみに首のラッパは1週間以上前にとれている。

へいをはさんで両側が見えるんだけど、内側の奥の植木のそばでは間違われた方のね

こさんが、もう平静を取り戻して、こっちを不思議そうにうかがってるのにくらべ、

片側のうまちゃん、そばに飼い主がいてなだめてるのに、舞上がっちゃってて、全然

言うこと聞かず、うなりながらきょろきょろ相手の居場所を探してる。


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