5/6のねこさん       文は田島薫

うすちゃとらくつろぐ

日曜の午後、連休でも外へ出かけようとしない私は、それでも外を時々ながめてたら、

家の前の小さな坂に沿ってある家のショッキングピンクのツツジの下の傾斜したアス

ファルトに、時たま見かけるうすちゃとらがたたずんでたんで、それをながめた。

ツツジのアカと葉のキミドリ、キイロっぽいの主人公と、グレーの地面の色合いがな

かなか調和して絵になってる。

何かあたりのにおいやら、気配やら、を味わってから、ゆっくり向きを変え、路を手

前に渡って、路から垂直にアパートの後ろに伸びているブロックべいの下でまたたた

ずんだ。

今度はその上にある幹を短く切られた太いケヤキの幹のウォームグレーとそこから沢

山出た小枝から繁った若葉のミドリとキイロッポの色合いがまたいい。

ブロックべいに、飛び乗ってからゆっくりスカイブルー色のアパートの後ろに消えた。


午後、ベランダで本読もうと、椅子出して、下見たら、ベランダ直した時に余って横

にして立て掛けてあるはめ板にぽかぽか陽が当ってて、それによりかかるようにうす

ちゃとらが寝てた。

うすちゃとらは体が薄汚れてて、このあたりじゃ珍しい本気ののらのようで、見かけ

て声かけても、いつも無愛想にゆっくり歩いて行ってしまうようなつきあいの悪いや

つなんだけど、時間開けて見るたび寝返りうってて、しまいには仰向けになって笑っ

たような顔して、警戒心完全放棄状態。

ビールを買いに行くんで玄関出たついでに、ちょうど目をさました彼に、キャットフ

ードを空き缶に入れて出してやったら、ゆっくり食べ始めたようだったんだけど、後

で見たら、たっぷり残したままだったから、やっぱりこのあたりのねこさんの食料事

情は余裕のあるもののようだ。


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