7/28のしゅちょう             文は田島薫

(吉本隆明の関心事について)

糸井重里が主宰してるホームページ「ほぼ日刊イトイ新聞」は私も日々アクセスし、

愛読させていただいてるんだけど、その日々のアクセス数はわが「ココア通信」の

約10万倍って言うからすごい、って言うか、当り前なんだけど、その最近力を入れ

てる特集に、私も若い頃から敬愛させていただいてる吉本隆明さんの講演会とかそ

のCD発売などがあり、附随したような(糸井さんとの)対談があった。

その中の、話の流れの中で、「あなたは何を大切にしてきましたか?」って聞かれ

たら吉本さんは何って応えますか?って糸井さんが言うと、吉本さん「
自分が生き

ている現在を考えるときになにに目を使っていますか、ということだと思います。

って言ったもんで、私は「あれ?なんだか質問の応えとずれてるな〜」って感じた

んだけど、その後の説明で、「バブル経済の頃、日本人の8割ぐらいが、自分は中

流階級だ、って答えてた時、どういう目の使い方をしたらいいか、って言うと、中

流の中以下の人がどうなってるか、どう考えてるかな、ってことだ、って、その

(時)を観察し解明するのに
機能的にいちばんいい、人事問題から、経済問題まで、

すべてがそうだ。」って言った。

糸井さんは「就職について」ってテーマでいろいろ考えて来て、結論的に、まとも

に仕事しようとする人はいっしょに仕事する仲間を欲しがっていて、それの究極的

面接試験の質問が「あなたは何を大切にしてきましたか?」ってことだと思ってて、

それに答えることによって、いっしょに働きたい人物が見つけられる、って視点で

例えば、「自分に正直なこと」とか、「友達を大切にする」だとか、ってイメージ

を持っていたのだ。

そこへ持って来て、吉本さんが言ってるのは、自分のたいせつにしてることは社会

的視点で、それも弱者に対してだ、って言外に言ってるわけで、中以下の人がどう

なって行くか考え主眼にして、
生きてる今を考え、それを広げて自分のやってるこ

とに関連づける、って、それに比べリゃ、個人が何が好きだとか何したい、なんて

ことはどうでもいいことだ、って。

さすがの、吉本さん、びしっ、っと言ってくれるもんで、糸井さんも忘れかけてた

ものを感じたはず、って言うか、糸井さんそれを予期して、特集してるわけだから、

糸井さんもただ者じゃない。




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