7/14の日記 文は田島薫
猛暑の上野舞踏パフォーマンス
日曜日は彫刻パフォーマンスアーチストの小林芳雄さんからの電話でのお誘いや、
案内の封筒を送ってもらったり(しかし残念なことに切手貼ってあるのに中身は空
だった)してたので、同居人と上野の都美術館の広い彫塑室でのパフォーマンスを
見に出かけた。
12時開始だって言うんで、日陰の全然ないカンカン照りの道を駅まで歩き、電車に
乗り上野公園着くと、あたりはフェルメール展やらコロー展やらバウハウス展やら
なにやらで目も眩む暑さの中盛大な人出だった。
現地着くと自作作品のセットの準備してる小林さんに2階から声かけて挨拶かわし、
1階下りると共演の「舞踏歌」成瀬信彦さんがや〜久しぶり!ってハグで歓迎して
くれて、楽屋に案内されたら、パーカションと爆音ギターのオカニワさんとサック
スのガンジーさんや、若い女性がふたりばかりいた。
パフォーマンスは小林さんの、「抑圧された人々の現場」ってような主題のぐちゃ
ぐちゃオブジェが会場全体に置かれ、その人々の怒りや生命力といったもんを小林
さん自身が絵の具塗りたくったり、何か担いだり、京劇風の見栄切りで表現し、成
瀬さんは自身と若い女性ふたりに喪服に見立てた黒い衣裳を着せ、そのひとりとか
らみながら陰微な交流を表現、もうひとりの方は会場のすみをず〜っと歩きながら、
しばった短いビニールひもを一つづつ落として行く。その合間にホイト芸の黒田オ
サムさんがやっぱり黒い衣裳で、ひょうきんな動きをしている。
一見デタラメな演出に見えるんだけど、よく考えられた演出だ、ってことはわかる。
会場全体をふちどりして行くひも落とし黒娘と中央ふきんの黒ホイトと黒男女に、
極彩色のがんばり怒り男、シンコペーションの効いたアバンギャルドサックスとギ
ターが会場全体のムードをまとめ上げる。
最初に私が、小林、成瀬共演見た時は、小林さんが堕落人間を現し、成瀬さんが神、
って具合だったから、立場逆転、今回の成瀬さんはどっちかっていうと嫌われ役。
成瀬さんのあんまり気持よくなかったね〜、ってのも、死ぬまでの時間とエロスっ
ていったものを表現したかった(多分)彼にとっては想定内なのだ。
アートってもんは気持よければいい、ってもんじゃないからむずかしい。