1/28のねこさん 文は田島薫
ぬくぬくねこ
きょうは昼過ぎにわが家とバレエ教室の間にある奥の家の長いアプローチ私道
を左から右へうまちゃんが走り抜けて行って、しばらくしたら右から左へ走り
抜けて行ったのを見ただけだった。
でも、天気のいいきのうの午後は、自転車で図書館に本を返しに行く途中の露
地にある古びた安普請アパートの前で、ねこさんに会った。
太陽の低い冬の午後は狭い露地はたいてい寒々しい日陰になってるとこが多い
んだけど、ここだけは、道とアパートの間にかなりゆったりしたスペースがあ
り、盛大に陽が当ってて、そこに止められていたボロスクータの破れたシート
の上に若い三毛が腹ばいになってひなたぼっこしてた。
自転車を止めて、彼を見てると、彼の方もなんだろこの人は?って見返すんだ
けど、ぬくぬくした日ざしにうとうとうつらうつらしてる気分の方が大きいら
しく、こっちを見てる目がしょぼしょぼして眠りに入って行く感じだった。
そんな時、いろいろ声かけたりすんのも迷惑だろうと思い、適当にその場を離
れて、図書館に着き、小1時間して同じ道を戻って来たら、三毛はさっきと同
じ姿勢で同じようにうとうとうつらうつらしてた。
で、またしばらくそれをながめてたら、後ろの方から、その三毛と同じ柄の少
し大きいねこさんがのっそり現れて、後の離れた場所に座った。
相変わらずそこいらいっぱいに陽が当っていて、ねこのおひるねパラダイス、
って環境の中、第2登場者の彼は、外に出ていた使用目的不明の抜群に味のあ
る安普請の本棚のひだまりの中段に飛び乗って、シートのねこさんと相似形に
なって眠りこんだ。