12/29のねこさん       文は田島薫

大自然の魅力

よく晴れた先週の午後、自転車で食料買い出しに出かけて、ねこよこちょうを右折し

た道の左手に住宅のならんだ細い袋小路があって、そこに白いねこさんがたたずんで

たんで、自転車でそっちへゆっくり近づいて行くと、ねこさんこっちに気がついて、

逃げるようにすっと前の小さなアパートのフェンスの中へ入った。

長年ここいらに住んでて、その袋小路に入るのは、これが初めてだったんだけど、フ

ェンスの前まで来て中をのぞくと、アパートの前の庭がこんな閑静な住宅街にふつり

あいな背の高い雑草や潅木に覆われた小さな大自然(形容矛盾)になってて、ねこさ

ん向こう向いたまま、大自然のかもすにおいにうっとり夢中になってる様子だった。

ふつうなら、こうやってねこさん追って行くと、たいていのねこさんはこっちを気に

して、ふり返ったりするもんなんだけど、そのねこさん、もうこっちのことなんか忘

れてちゃってるようで、私は、いつふり返るか、ってけっこう長い時間ながめてたの

にちっともふり返らないで、ねこさん大自然と対話してた。

だもんで、短いですが、動かないねこさん前にもう報告することがないんで、今年は

これでねこじめ(ねこをしめんじゃない)。


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