12/15のねこさん       文は田島薫

予定変えるねこさん

土曜の午後いつものように、自転車で食料の買い出しに出かけて、ねこよこちょうを

来て、十字路を右折しようとしたら、先の道のまん中にきいろのとらが立ち止まって、

何か考えてる様子が見えたもんで、右折をやめ真直ぐ近づいた。

ねこさん、どうも向かいの玄関のりっぱな家の木々の生い茂った庭に入り込もうか、

よそうか、って中をうかがってる風だった。

私に気がつくと、あやっ、って少しびっくりしてから、身体の向きを変え、反対側の

家の門の方へ入って行ったようだったんで、そこの門扉のところ行ってみて見ると、

そこの門扉は確か、以前、その下側から中に入り込もうとしたねこさんが身体をつっ

かえさせて焦ってた物件のようだったんで、大丈夫だったかな、って視線を低くしな

がらのぞき込み、で、ねこさんはどこかな、って門扉の中の庭の先を目で探したんだ

けどいないもんで、あれ?って思ってるとなんだか私の頭の方に気配を感じ、顔を上

げると、鼻先の石塀の上にびっくり顔のねこさんが、身体を緊張させて立っていた。

向かいの家の庭に入ろうか考えてたら、へんな人が来るもんだから、やめて、いつも

くつろいでる石塀の上での昼寝に計画変更したと思ったら、怪しい人物がまたこっち

へ顔近づけて来るもんでしょうがない、って今度は庭の内側に飛び下り、ってそっち

の庭の奥へ向かって歩き出した。

今度は自分のテリトリーらしく、迷いもなくおもしろくもなさそうに真直ぐ歩いて行

ったんだけど、いやいや、いろいろ予定変えさせて申し訳なかったです。


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