ぼけのたわごと         文は上一朝(しゃんかずとも)


大変お待たせいたしました。
大好評だった酩酊放談のシャンせんせい、装い新たに復活しました。
シャンさん、忘れてはいけない日についてみんな考えろ!って言ってます。



十二月八日

「帝国陸海軍ハ今八日未明西太平洋ニオイテ米英軍ト戦闘状態に入レリ……」。

昭和16年12月8日は、大東亜戦争開戦の日。

昭和20年8月15日は、天皇の終戦の詔書が発せられ、後日終戦記念日となったが、

12月8日は、記念日はおろか人々の記憶から消えようとしている。

終戦記念日はともかく、この12月8日を忘れるということは国民にとって不幸なこと

である。なぜならば、この日を起点として国家が国民から完全に乖離したからだ。


大東亜戦争(アメリカの命で太平洋戦争とされた)を振り返ってみよう。

外交官の怠慢によりだまし討ちの汚名を着せられて始まったこの戦争は、役人の指導で

行われたことに悲劇がある。ここでいう役人とは、文官のことではなく軍服を着た役人

を指す。陸士、陸大と進み戦場を知らぬ彼らは全て机上の作戦を指導した。開戦にあた

っての計画はかなり綿密に立てられたがあくまでも計画である。兵は彼らの計画どおり

に戦い、勝つところは勝つと決めていた。

実態はどうか。絶対解読されないはずの暗号は筒抜け。兵器、弾薬、食糧、資材は考え

るのもおぞましいくらい不足していた。にもかかわらず彼らは計画どおりの勝利を求め

た。国民の鍋釜を取り上げ兵器にし、貴金属を供出させて兵器産業を潤した。戦いが不

利とわかると精神論を持ち出し、最後には兵器もないのに竹やりで戦えと言い出した。


さて、いろいろと書いたのは、これらのことが現在の社会状況と似ているからだ。

国民のことを全く考えない夜郎自大で無能な、団体の代表か世襲の政治家と学歴が全て

の役人。100年安心の年金なんてものは、絶対解読されない暗号そのものだ。税、雇

用、福祉、道路建設等どれをとっても国民無視の軍人官僚の行動そのままではないか。


これは、終戦記念日に重きをおき、12月8日をないがしろにしたことに遠因がある。

その事は、今時大戦を徹底的に検証しないことと、当時の指導者をそのまま受け入れる

原因となった。

もちろん敗戦をもって過去を反省するのは悪いことではないが、やたらに謝罪を表看板

にして真の贖罪を隠している。また、東西冷戦の挟間で生まれた非武装中立などという

言葉に酔って現実を見る目を誤った。非武装中立は理想かもしれないが、現実的に見れ

ば戦後ヤミを拒否して餓死した判事とおなじことだ。ブッシュ大統領は、太平洋戦争開

戦67周年にあたって、真珠湾のアリゾナや日本人収容所を史跡に指定した。日本の非

と、自分たちの非を等量に評価するという精神は敵ながら天晴である。


国際的に認められた日本敗戦の日がいつであるかを知らず、支配層の思惑で8月15日

がその日であるかのように思いこんでいる国民。太平洋戦争の存在すら知らない若者。

このような無知な社会が田母神氏のような考えを持つ人間を作ってしまう。

もの事には善も悪もある。いまの日本は、それらを冷静に分析する力がまったく欠如し

てしまった。今こそ、今時大戦をもう一度ゼロから考え直すときだ。

そのためには、12月8日を再度認識して、この日は、われわれにとって、どのような

意味をもつのかを冷静に分析、検証するべきだと思う。


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