4/28の日記 文は田島薫
バベル
日曜はテレビを見るともなく見ながら図書館で借りた本を読んで過ごし、午後に
なったら、久しぶりにレンタルビデオ店へ行って、ずっと見ようと思っていた、
去年ヒットした映画「バベル」を借りて来た。
レンタルビデオ店は去年晩秋に事務所引越すまでのここ2年ぐらい自宅との出勤
途中の赤羽のビデオ店の月1のサービスデーを利用してたもんで、地元の店へは
ずいぶん久しぶりだったんだけど、休日だというのにガラガラ、やはり、私のよ
うに発想する庶民レベルでの着実に進行する不景気に同業種のサービス競争や、
BS受信やらのもろもろの理由があって営業苦戦してるのだろう。
以前は3本ぐらいまとめて借りてたもんなんだけど、「バベル」は新作の棚にあ
って、新作は2泊3日だと表示されてたもんで、見るのに忙しいと思い、それ1本
だけカウンターに持ってたら、けっきょく準新作ってことで1週間借りられると
いうことだったんだけど、ただでさえ寂しい気分の店員にそのまま1本分、1円
玉まじりで支払って、気分のだめ押しをしてあげた。
風呂入ってビールと食事の後、ショーチュ−飲みながら「バベル」を見た。
モロッコとアメリカとメキシコと日本をつなぐ1本の銃による悲劇の連鎖、って
いったまとめ方もできる作品なんだろうけど、まとめてみてもしょうがない、と
も言えるわけで、バベルの塔の話にある言語の違いによる崩壊、といったものを
連想させる、異民族同士のコミュニケーションの不具合や、夫婦間のそれや、ろ
うあの少女と外部へのそれ、ってテーマの象徴がうまくできてる、って感心した
りもするんだけど、レハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、って絶対覚えられ
ない名前の監督に力を感じたのは、その悲劇の連鎖に匙を投げず、土壇場で踏ん
張って和解などの要素を組み込めていたとこだ。
しかし、ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットのタイプが夫婦になるはず
ないだろう、って感じちゃうし、いくら無学だといっても、あの子供、観光バス
に銃弾打ち込んじゃいかんだろう、しかし、そうしてくれたおかげでこのドラマ
が動き出した、ってわけなのだから不条理にすがったプロットともいえる。