4/14の日記 文は田島薫
旧知の住人らと立ち話
土曜はよく晴れた暖かい日で、自転車や歩きで、食料の買い出しやらなんやらも、
気分がいい春の散歩だった。
近所のクリーニング屋に預けていたやつを受け取りに行く途中、わが家そばの坂を
上り切ったところに昔から住んでいる幼な友だちのカズちゃんが小さな子供の相手
をしていたんで、お互い笑顔であいさつし、用を済まして帰って来ても、彼らはま
だそこにいたもんで、立ち止まって話をした。
今や完全に住宅街に変貌したわが家の周囲も昔は雑木林や草むらがたっぷりあって、
子供だったわれわれも近所じゅうの仲間とけっこう遊んだもんなんだけど、中学に
行く頃になると付き合いも途絶え、その後何十年も同じ場所に住んでいながら、年
に1回ぐらい偶然顔を合わせた時軽くあいさつするぐらいになっていたのだ。
いつもにこにこ柔和なおっさん顔に聞くと子供は娘の子で自分の孫だと嬉しそうに
答え、同じく人なつこい子供の方も私の方へ来て、赤ちゃんが来るんだ、って、言
うんで、カズちゃんを見ると、間もなく娘夫婦が病院から赤ん坊を連れて帰って来
るとこなんだ、って笑った。
間もなく車が到着し、下りて来た母子に向かって、おめでとう、って言ってやった。
家ん中へ入って行く幸せ家族を見送った後、10歩ばかり歩いて小さな十字路に出る
と、今度は近所でひとり暮らししてる86才になる金子のおばさんが歩いて来たとこ
だったんで、また立ち話、こんなことは多分何十年ぶりのことだ。
うっすら陽に焼けた色つやいい顔して元気にいろんなとこ歩き回ってるおばさんは、
娘3人の近況をつぶさに話してくれ、市内の郊外で食堂をやってる2番目の娘のとこ
で毎日昼に手伝いをしてるんだって言うので、体の具合のわるいとこないか聞くと、
起きてる時は全然平気なんだけど、どうも夜寝床に入ると足が痛い、って、そりゃ、
筋肉痛だ、つーの。