●連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
シティギャル・もどきさんの好評新シリーズ7回めです。


シリーズ・銀座の街角で   

 銀座の猫

この間、ギャラリーセンタービルって所へ行きました。あの辺り今道路工事中で車

が数珠繋ぎでガードマンがいたるところに立っていました。

そこへランドセルを背負った男の子が通りかかり、ガードマンのおじさんに何事か

しゃべっているんです。工事の音がうるさいから顔を寄せてとても親しそうに。

「あのね、今日はこんなことがあったんだよ・・・」「気をつけて帰れよ!」そん

な会話が聞こえてくるような雰囲気でとても微笑ましい光景でした。そういえばそ

ばに泰明小学校があるのでした。

取り澄ましたよそいきの銀座に普段着が入り込んだようなほんわかした気分になり

ます。

そのとき普段着という連想から、学校帰りの子供を見つけたのだから銀座にも野良

猫がいないかしら、と唐突に思いました。

私は別に頻繁に銀座へいくわけじゃなし、猫を探しにいくわけじゃないんだけど、

銀座で猫をまったく見かけたことがありません。会社が多く、実際に暮らしている

人が少ないからあたりまえだ、といわれればそうかもしれないけれど・・・

でも、代々続く老舗もあるしまったく住んでいる人がいないわけではないはず。食

べ物屋さんが軒を並べているんだから、残飯だって出るでしょうし、猫がいても不

思議はないのです。

銀座で猫にであったらうれしいな!

銀座の猫って、きっと高慢ちきでそれでいてなれなれしくてちょっと性悪な猫。

ヴィトン柄の首輪なんかして車を止めて悠然と道路を横断していたりして・・・

道路の置き看板の上にちょこんと乗って行き交う人を観察したりして・・・

なでられても逃げないでゴロゴロ喉を鳴らしたりして・・・

ちょっと、あくせく生きる都会人をバカにしたような大あくびをしたりして・・・

我が家の濡れ縁で眼を半開きにして “世間などどうでもいい”と じっと座ってい

る猫も好きだけど、したたかに街中で要領よく生きる猫も大好きです。


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