3/19の日記          文は田島薫



ふたたび散歩

都合でわが家に同居している悩み出版社はよそ行きの衣服は溢れるほど持って

るわりに普段着がほとんどないようなので、私の溢れるほどある穴あきセータ

ーコレクションの一枚をあげたら、それをいつも着てるんだけど、共通の友人

が遊びに来るたび異口同音に「みすぼらしい〜」、って言われるもんで、玄関

にその気配があると急いでいいセーターに着替えていた。

昨日は2階の居間で一緒にお茶など飲んでると、だれかがベランダの階段上が

って来たんで見るとヘルメットかぶった友人の将棋男らしかったのが、こっち

をちらっと見てからすぐに下へ下りて行ったんで、玄関の方へ行きながら、出

版社にそう言うと、すぐに着替えにかかった。


で、玄関開けてみると、だれもいないんで、へんだな、ってあたりを見回して

みると、となりのアパートの前にバイクが止めてあるんで、そっちへ行って、

待ってると、アパートに何か配って来た男が出て来たんで、さっきそこの2階

へ上がって来たのはアンタ?何で?ってとがめてやったら、2世帯アパートと

間違えた、と言って詫びたんで許してやった。(わが家は以前には倉庫と間違

われたことだってあるんだぜ!、…ってえばるこたーない)


で、出版社に、友人と別人を間違えたことを伝えたんだけど、すっかり着替え

てるし、ついでにちょっと外出かけるか、ってことになり、2番目の最寄りで

京浜線の方の駅の方へ散歩することにした。


晴れてて花々が咲いてて気持いいんだけど、風が冷たかったんで、花見会場に

もなる神社まで来てからそろそろ帰ろう、ってことにして、その前にお参りす

る、って言うのにつきあった。

神殿の前に古びた立て看板のようなものがあり、その中に小さな木札が沢山ぶ

ら下がってるんで、なんだろう、って言ったら、どうもお百度参りする人が、

そのたんびにそれをひっくり返すもんのようだ、ってことになったんだけど、

じゃそれをしたとして、二人目の人はどうすんのかな、って、どんどんひっく

り返しちゃってめちゃくちゃになりそうだな、って言いながら、無意識に裏返

ってた札を全部元に戻しちゃったことに、家帰って来てから気がついた。

やー、お百度やってた方申し訳ない、もう一度最初からやってください。

(ばかやろー、そんなことできっかっ!、 …え?何?、百度参りと百日参り

と違うの?、じゃ、心配するこたなかったんだ、や〜、思い違いしてること、

ってありますな〜)


戻る