3/5の主張             文は田島薫



(軽薄な愛国扇動について)

きのう夕刊を見てたら、石原都知事が制作総指揮をとった、って特攻隊映画の

広告があった、俺は君のためにこそ死にに行く、って。

太平洋戦争で、死を覚悟して米艦に体当たりして行った若者たちの悲壮な思い

や愛する人を守るため、って自己納得した行動の重さは否定できないし、その

ひとりひとりの心を国民みんなが愛して、感動の中で記憶に留めることは悪い

ことではないと思うけど、それは純粋に素朴なその心情に対して愛するのであ

って、その特攻、って戦略や戦争を支持すべきことでは決してない。


美しい祖国や愛する人を守るため、って言われると、その戦う相手は、敵、っ

てイメージが簡単に湧いて来るもんだから、どんな戦争でも戦う両国にはそれ

ぞれに美しい祖国があるのだし愛する人がいるはずなのに、それらのものは、

自国の方にだけしかない、ってぼーっとしてる人々は今のような平和な世の中

でさえ、錯覚しがちなのだけど、国の政治のリーダーでさえ率先してそう考え

てる風なこのごろの気配は非常に危うい。


米国のようにむちゃくちゃなへ理屈で他国を攻撃してるんでも、反撃にあえば、

悪い敵国の攻撃から自国を守る、って表現になり、それに従属してるわが国も

同じ理屈で戦う危険性があるのだ。

世界の中の公平な状況判断をできずに、ただ感情論で、自国を守るために、若

者は時には命を捨てる覚悟がいるのだ、などと、気軽に扇動する政治家を信用

してはいけない。

連中は端から自分を安全な場所に置き、結局のところ、万が一「いよいよ」と

なった時に戦わせようとする若者は、他国に自分の勝手な論理を強引に押し通

すための道具にしか考えていないのだから。




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