1/2の日記          文は田島薫



年末舞踏ライブ

プロデューサーの尾形さんを通じて知り合った、舞踏家成瀬信彦さんが秋に宮下

省死さん、小林嵯峨さんと王子でやった舞踏「マグサレ」のその時映画監督の筒

井さんが撮影編集したものの上映会とミニ舞踏があり、公演後彼やパートナーの

郡司さんや筒井さん、宮下さん、嵯峨さんと観客を巻き込んだ忘年会があるから、

っていうので、高田馬場のミニシアターに出かけた。


12〜14畳ぐらいと思われる狭い空間に尾形さん、彫刻パフォーマーの小林さん、

の他、何組かの外国人を含んだ老若男女三十数人の観客がいて、真冬なのに、真

夏のような暑さ、私はコートとセーターを脱ぎ、ティーシャツ一枚になった。


映画「マグサレ」はクリアーで適切な映像処理と音響や音楽で完成度の高い作品

に仕上げられていて、3名の舞踏家にとっても、非常にありがたいことなんじゃ

ないかな、と私は勝手に決めつけた。


嵯峨さんは成瀬さんになにか怒りを溜め込んでいたようで、舞台上で、舞踏の流

れのフリをして本気でビンタをしたように感じたんで、後で近い人間に聞いてみ

たら、どうもその通りで、嵯峨さんへの同情票が場を制していたような印象を持

ったんだけど、嵯峨さんが忘年会に参加せずにひとり先に帰ってしまったって聞

いて、具体的な事情を全く知らない私は、むしろ成瀬さんに同情した。


そんなことを気にする素振りも見せずに、公演後の成瀬さんはいつものように、

ハイテンションとご機嫌で、親愛交流を繰り広げていた。

彼は確信犯的創造者で、他人からの単なる批判の大きさだけではブレないのだ。


宮下さんや、筒井さんや、郡司さん、シアターオーナー夫妻らと、朝の4時ごろ

まで飲んでいつの間にか寝てしまい、6時近くに目をさまし、寝てる尾形さんを置

いて、郡司さんに見送られて彫刻パフォーマー小林さんとそこを出た。


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