2/13ののらねこ       文は田島薫


ねこの目アクション

このごろ朝になってもドアよこココア食堂の皿にエサが残ってることがあるんだ

けど、3連休明けは、さすがに、皿も周囲もエサのひと粒も残ってなかった。

皿洗いながら窓の外見ると、もうバットマンが来て待ってるんで、よ、ってあい

さつしてから、それを水といっしょに出してやると、す、っとそっちへ行ってか

ら立ち止まりこっち見るので、どうぞ、って言うと食べ始めた。

ちょっとして、行ってみると、もう彼の姿はなかった。


路地の見回りに行ってみようと、事務所の下道路に出てみると、向こうにくろと

らがゆっくり歩いて行くのが見えるので、ながめてると、気配を感じたのか、こ

っちを振り返ったんで、手招きしてみるが、ふん、と言ってまた向こうへ歩いて

行った。


北側の路地へ行くと、小さな庭の家の庭にはだれもいなくて通り過ぎてから振り

返ると、ちょうどその中へどっかから現れたうすちゃが入って行くとこだったん

で、戻って見てると、フェンスに沿ってなにかの箱の積まれた狭いすき間に入っ

て少し歩いてから塀の上によじ登り、塀の上をずっと向こうまで歩いて行って、

立ち止まり、また少し引き返し座り込んだんで、そこでじっとするのかな、って

思ってると、また立ち上がってから、塀の下へ下りたんで、のぞき込んでみたら、

もう、どっかへ消えていた。


ななめ向かいのアパートの外階段の前に、顔見知りのおねえさんがゴミ袋持って

後ろ向きになにかしている向こうからぶちみけが現れて、おねえさんの方見て、

るんで、それをながめてると、ぶちみけもこっちに気が付いて目が合った。

しばらく見てると、いったんその場に寝ころんでから、やおら立ち上がって、の

びをし、向こう向いて、また全身でのびをして、こっちに足をのばしながらおね

えさんについて向こうへ行った。


事務所のあるビルの階段をのぼってとなりの物置きの屋根を見るとバットマンが

いて、彼もこっちに気がついて、見てると、そこからこっちの物置きの屋根づた

いにこっちへ歩いて来る。

2階の踊り場でうろうろしてから、こっちの顔を見て、また3階のココア食堂前ま

で上がって来たんで、背中をもんでやってからドアの中に入って、ちょっと待っ

て、窓から外見ると、バットマンがまた階段を下りて行くとこだった。


春めいて来るとねこさんたちに落ち着きがなくなるよーだ。


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