12/3のねこさん       文は田島薫


バレエ教室のねこ

いや〜、きょうもねこさん見えないね〜。

え〜と、一番最近見たのは、金曜かな、夕方自転車で、駅前の銀行へ行って

帰って来た時、自宅のとなりのバレエ教室の向かいの家と家の間の私道を向

こうに歩いて行くバレエ教室の無愛想くろとらが見えた。

自転車でそこを通り過ぎる一瞬目をやった時、彼も振り返った。

ただそれだけの事なんだけど、外の気配に対する感度がいい、っていうか、

とても神経質なタイプなのだ。


で、バレエ教室にはもうひとり別のねこがいて、そっちはグレーとくろのま

だらで顔が扁平、人なつこい、梅ちゃんだ。

梅ちゃんはたま〜に家の外に出てるけど、どの人がそばへ来ても全然平気で、

なでられたりしてもされるがまま、慌てず騒がずじっと座ったり、立ったり、

悠然として何か瞑想でもしてるような風情。


神経質な無愛想くろとらの方は、人見るとすぐに逃げ出して、いつも離れた

ところから相手を観察するんだけど、見るたび、うちの庭を横切って、奥の

家のフェンス飛び越えて行ったり、うちの裏のアパートの方から別のねこに

追いかけられて走り出て来たり、動く範囲や量は梅ちゃんより多い。


人なつこいねこも可愛いんだけど、だんだん慣れて来て、愛想がよくなりす

ぎると少しつまんなく感じたりもするし、無愛想くろとらのように臆病で神

経質であちこち出没するようなねこの野生味、ってのはやっぱりねこのよさ

で、その点、のらねこはたいていその要素が強いわけだけど、それでも、そ

んな中で、ちょっと、お互いのコミュニケーションを感じた時がうれしいわ

けなのだから、一概に無愛想がいい、っても言い切れない。

(だから、けっきょくなにを言いたいんだ、っての)


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