9/11ののらねこ 文は田島薫
またおいてきぼりか
今朝は、少し秋らしい気持いい風が吹くもののまた真夏のような暑さの中、出勤して、
なんだか、ねこさん見えないな〜、って感じてたら、2階の踊り場から続く物置き屋
根の上でまたバットマンが寝てた。
どうも確率的に2階でバットマンくつろいでる時は、他の路地にねこの姿が減るよう
な気がするのは、ねこさんたちの会合なり団体旅行があってバットマンは仲間はずれ
にされてて、彼はそれに甘んじつつかえって安心してベッドを独占することを楽しん
でいるのかも知れない、って思った。
おい、バットマン、ってあいさつすると、にゃ、って言いながら、手足を伸ばして、
指と指の間を広げてから寝返りを打ったけど、3階の食堂へは来るつもりがないよう
だった。
酒屋へ行くついでに、私の仮説を試しに路地を回ってみる。
いないいない、小さな庭の家にも弁当屋の前にも、北側の路地、ゼロ、酒屋で買い物
してから、南側、こっちもいないいない、でいい調子。
きょうはだれもいない方が文章のテーマが締まるのだ。
南側もゼロ、おー、やったー、バットマン仲間はずれに決定、っていじわるみたいだ
けど、いいんだよ、バットマンはけっこう大物の器でそんなことをかえって楽しんじ
ゃう一匹おおかみなのだ、ねこなのにおおかみ?
深刻そうな顔をしながらそんなことを考えながら、とにかく、だれもねこさん見なか
ったってことでよかった、って思いながら路地をぬけたとこの、やおやのとなりの駐
車場をふと見ると、いかん、そのまん中で、グレーとうす茶の三毛がおすわりしてた。
なんだ、お前も一匹おおかみねこか、って。