酩酊放談             文は上一朝(しゃんかずとも)


発言欄のどうにも書かないN先生のピンチヒッターがレギュラーに、
事情通シャンさんが独立コラムに栄転!
センセイ、日本人が忘れている金正日さんの理解の仕方を教えています。


北の寅さん                            

敬愛する領導者であり偉大な将軍様金正日のことを「彼は寅さんが好きだから悪い人間で

はない」といった人がいる。そこで思いついたお話し。

金正日を寅さんとすると、妹さくらは韓国。どんなにやんちゃな兄貴でもいざとなるとか

ばってしまうのはそれはそこ血を分けた兄妹だから仕方がない。おばちゃんは中国。早く

に母親をなくした寅ちゃんをずっと見守ってきたのだから、小言はいうけど見放せない。

おいちゃんはロシア。寅さんを育てた責任がある。めったに意見はいわないけれどここぞ

というときにガツンとやる。寅さんも悪態をつきながらけっこう言うことを聞く。

さくらの夫博は、今はなき東欧諸国。世間的良識を持って寅さんを諌めていたが、皆崩壊

してしまったのがおしい。甥のみつおはミャンマー。オジサンの行状を見ながら、あんな

大人にはなるまいと。アンサンスーチー女史を長年幽閉しながら軽い経済封鎖を受けるだ

けで結構うまくやっている。印刷屋のたこ社長はアメリカ。自分の流儀で寅さんに突っか

かるのですぐ喧嘩になるが、実は結構気が合うところがある。マドンナはさしずめ日本。

寅さんは一生懸命秋波を送ってくる。マドンナ日本もそれとなく好意(日朝貿易)を示す

がここぞというときにジャマ(アメリカの横槍)が入りなかなか添い遂げられない。

北の寅さんの不幸は御前さまがいないこと。今の国連はとてもその器ではない。といって

も博愛と知恵をもって北の寅さんを諌める国は……見当たらないな〜。


北の寅さんと柴又の寅さんの似ているところは早くに母親を亡くしたこと。北の寅さんの

母親は彼が七歳のとき三人の子供を残して死んだ。かれの母親は儒教精神に富んだ道徳的

なおかつ厳格な精神の持ち主だった。彼の不幸は継母との折り合いが悪く、その上後妻の

子金平一が北の寅さんよりあらゆる面で出来がよく周りにちやほやされた。父、金日成も

金平一を後継者にと考えていたが儒教の伝統である長兄がその家を継ぐという仕来たりを

破ることができなかった。これが北の寅さんの不幸の始まり。

北の寅さんの頑迷なところは生母の性格そっくりだそうだ。生母似で内向的なところがあ

るが、芸術的才能は早くに現れていた。彼の映画コレクションは2万本とも。もっと自由

に好きな道に進むことができたら今のような苦労をしなくてすんだのに……。

社会主義と宗教なんておかしいと思うでしょうが、案外人間の本質なんてこんなものかも。

国際法や条約も結構なことだけど、日朝間も、もう少し別の面から捉えたらいいお付き合

いができるかもよ〜。なんといっても日本と朝鮮は伊藤さん以来の長〜いお付き合いだも

の。

日本だってついこの間まで、現人神である天皇をかついで右往左往していたのだから威張

れたもんじゃないですぞ。


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