10/16の主張             文は田島薫



(北朝鮮の核実験について2)

北朝鮮の核実験強行について、米国と日本が主体になり、国連安保理で、北朝鮮へ

の経済制裁を決議した。

米国のボルトンや日本の安倍首相などは、軍事制裁さえいとわない、っていった風

の興奮気味の張りきり様で、アンケートを見ると日本国民の大多数も、それに賛同

さえしちゃうんじゃないか、って心配になるほどの集団的な思考の欠如さだ。

わが国が数十年前、当の米国からの経済制裁を受けて、無謀な大平洋戦争に突入し、

数百万人の死がもたらされた、って事実を若い日本人たちは知らないんだろうか。

無謀とわかっていても、追い詰められた国は自国のプライドをかけて暴走すること

がある、ってことなのだ。

で、北朝鮮は核軍備してる。それに対して、軍事行動を誘発して行く恐れのある経

済制裁などは、もっと慎重に行うべきで、わが国独自で実施なんて安倍首相の判断

は軽率きわまりない。


拉致被害者家族なども、経済制裁してください、って、当然のように訴えて、それ

を見てるわれわれ国民もそうだそうだ、って気軽に賛成してるんだけど、その経済

制裁による北朝鮮国民の被害と、拉致被害者の被害とのバランスは、拉致被害者家

族などには酷な言い方だろうけど、どう考えても不公平で、わが国民の考えは、わ

がまま過ぎるんじゃないか、って感じてしまう、確かに拉致は悪いし、非難される

べきことではある、しかし、北朝鮮の今日の姿はまだ戦時であって、拉致は情報戦

上のひとつの作戦に過ぎず、拉致被害者に対しても飢餓の状態の自国民よりも、優

遇して生活保証をしているのに比べ、経済制裁はその北朝鮮国民の餓死者を増やす

ことを容認することなのだ。経済制裁は宣戦布告と受け取る、って言った北朝鮮の

立場は、まがりなりにも国民の生命を守もりたい(これを信じない、って言う人が

いるけど)、って考えているはずの北朝鮮政府としてはリアルな感想だろう。


経済制裁すれば、北朝鮮の核軍備の資金が滞りそれを止めることができる、なんて

考えるのはあまりに単純な発想じゃないだろうか、だって、今までだって、貧しさ

のあまり、仕方なしに国民の飢餓をさしおいて軍備に金を注ぎ込んで来たんだし、

(これはかつてわが国だってやってたことで、戦死といわれる兵士の多数が餓死だ

った)、経済制裁すれば、国民の食料に当てられていた金がもっと削られて行き、

飢餓状況を加速させることになるのだ。

平和ボケの頭で他国を気軽に批判するのはやめて、もっと北朝鮮の立場を理解して

行こう、って考えをみんなが持つことが平和と相互発展の道だ、って言いたい。




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