酩酊放談             文は上一朝(しゃんかずとも)


発言欄のどうにも書かないN先生のピンチヒッターがレギュラーに、
事情通シャンさんが独立コラムに栄転!
センセイ、日本人のおっちょこちょいぶりに警鐘をならしてます。


敵も知らず 己も知らず                            
                      
10月9日、わが安部総理が懸案の中国訪問中に北朝鮮は厳かに核実験の成功を告げた。

おかげで、「いずれやるさ」、「まさかやるめぇー」の、ご存知二極化日本もてんやわん

やの大騒ぎ。夕刊紙、週刊誌は待ってましたとばかりに明日にも核ミサイルが飛んでくる

ようなあおりよう。世間を見渡せば、放射性ヨウ素の吸収を弱めるヨウ素剤が普段の30

倍もの売れ行きだそうだ。こんなもので助かろうとは、原爆二発くらったわりには庶民の

考えはのん気なものだ。


核実験翌日10月10日の共同通信電話アンケートによれば、

経済制裁について=強めるべき83.4%、強めるべきではない13.1%。

核実験に脅威を感じるか=大いに感じる55.9%、ある程度感じる36.1%。あまり

感じない5.6%、全く感じない2.2%。

経済制裁を強めるべきが83.4%。脅威を感じる人は、ある程度感じるを含めて92%

となる。隣国で悪さをしていれば、懲らしめてやれと言うのが普通であり、この数字は正

常だろう。しかし、問題は隣国がどんな国であるかにある。

北朝鮮、朝鮮人民民主主義共和国はどのような経緯で出来た国であるのか。現在休戦中で

あるがアメリカを中心とする国連軍と戦争中であること、等を理解している人はどの位い

るのか。軍事評論家前田哲夫氏は、「朝鮮半島は、休戦状態が五十年以上も続くもろい地

盤の上に立っている。国際法上では日本は北朝鮮の宗主国のままだ。国交がない不正常な

状態が続いている責任を(日本は)見据える必要がある」。と言っている。

朝鮮戦争を知らない国民が大半を占め、その後どういう付き合いをしてきたのかもほとん

どの国民はしらない。旧社会党はユートピアであるといい、自民党は危険な共産主義独裁

国家であるといいながら、双方裏では利権貿易に励んできた。国民は安く物が手に入れば

良しとして、よど号、拉致、不審船、ミサイル、と事件が起きなければまったく国家間の

問題に無関心であった。

北朝鮮は金日成の時代に短い期間であるが経済力で韓国を越えたときがある。それがなに

ゆえに世界を敵にまわす国になったのか。金正日の暴政がその原因と言い切れないものが

そこにある。将軍さまが、核を振り回しはじめた今こそ、今日まで北朝鮮と日本はどのよ

うに付き合ってきたのかを冷静に検証する時ではないか。

「明治維新以来、日本人の奥底にあるのは開国ではなく『攘夷』日本人は熱狂しやすく、

集団催眠に入るとすぐに攘夷が出てくるが、それは国を滅ぼしかねない」半藤一利著「昭

和史」の一節である。目先の対応に走ると、大東亜戦争の二の舞になりかねない。

また、オウム真理教のドキュメント映画「A」「A2」の作者森達也監督は「世相が明ら

かに変わってきています。危険なのは一部の政治家じゃなくて、彼らを支持しだしたこの

世相なんです。つまり僕たちです」と警鐘をならしている。

「“賢さ”試される日本」これは政治面の見出しではなく、サッカーアジアカップ予選、

対インド戦の見出しである。北朝鮮問題こそ「“賢さ”試される日本」のはずなのだが

…。


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