●新連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさん、このごろのファッションに戸惑っています。


ファッション雑感

最近電車内でのこと。

後姿を見せて立っている女性のカーディガンの下のゴム編みの部分がビローンと垂れ下

がっている。わざとなのか、それともほどけてしまったのか? 気になるなあ〜。

夏の電車内でも、座席で本を読んでいてやおら目をあげたらおへそが目に飛び込んでき

てたまげたっけ。流行のへそ出しルックか、と納得したがあわてて目をそらしたがヤな

ものを見てしまったという感じ。

今のファッションは破いたり貼り付けたり、露出したりでお洒落感覚が均一じゃないか

ら悩ましいのだ。

それに寒暖が交互にやってくるこの季節、女性の服はさまざまで不可解なファッション

が横行する。首の周りにファーのついた厚手ジャケットなのにスカートは薄手の軽やか

なジョーゼット仕様でナマ足にミュールをつっかけている。上が冬で下が夏、イコール

秋というわけ? おせっかいおばさんは足元は温めてね、冷えは体に毒よ、といいたく

なる。むしろ季節の先取りでコートを着て、脱いだらノースリーブという方がステキな

んじゃない?

今はわざとバランスを悪くしたり、年代物にする(ビンテージというらしい)のがカッ

コイイらしいけど、人間そんなに基本的な美的感覚が急速に変化したとも思えないのに

どんどん過激になっていく。結局人と異なるファッションを身につける自己主張の時代

ということなのだろうか。

「見て見て!私のこだわりファッション」

そのアピールはいじらしい。でもそれをカッコイイと思う人が多いと真似して流行にな

ってしまい、皮肉にも折角の目立とう精神が均一化して大きな潮流となってしまう。だ

から常に流行は進取の晴れがましさと均一の安心感によって支えられているのだ。

着飾りたい女心にとってはその狭間で悩みながら、厄介で楽しいのがファッションなの

かも。

ところで、ときどき見かけるパンツとスカートの組み合わせが面白い。きっと今日はス

カートにしようか、パンツにしようか迷いに迷った挙句、エーイ、一緒に穿いちゃえ、

と決心して生まれたファッションに違いないとおばさんはにらんでいる。その気持ちわ

かるなあ。(ちゃうちゃう、そんな実用的な発想じゃないねん。計算されたれっきとし

たオシャレなんや、の声あり)

実は白状すれば、以前から冬になると冷え性の私は家でやっていました。ちょうど古代

のあの埴輪のような感じで…もうこれが流行となれば堂々たるもの。このまま買い物に

もいっちゃおうかな。

げに恐ろしきは流行である。


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