11/6ののらねこ       文は田島薫


ハードボイルドの日

3連休明けの朝、出勤すると、となりの建物のベランダでバットマンが、そのまた

となりの物置きの屋根ではきたなくろ、別名ブラッキーが昼寝をしていた。

エサ出して彼らに声かけるんだけど、なんだい、またなんかまずいもん出して恩着

せよう、ってのかい、ってな顔を向けて動こうとしないとこみると、お腹の方は今

は足りてるようだ。


じゃ、もっとひもじそうなお客さん探しに行こう、って路地の見回りに行った。

北側の路地の弁当屋の前のエアコン室外機の裏の狭いすき間に出してもらったエサ

をくろとらが窮屈そうな姿勢で食べていた。

その先のアパートの前では、つーとん3せがいつもいる階段のステップじゃなくて、

もっと道よりのところで座っていたんで、おい、って声かけたら、そばの自転車の

車輪の向こう側に逃げて、こっちを向いてるんで、しゃがんで、こっち来いよ、っ

て言ってみたら、ちょっと出て来てからすぐその場で座って、しきりにこっちを見

てるんだけど、こっちもとくに彼にしてやれる用意もなかったんで、じゃな、って

言って、立ち上がって別れた。


南側の路地にはだれもいなくて、ハードボイルドの別れをしたばかりの私は、つい

でに買って来た(どっちがついでだか)ショーチューをかかえながら、南側路地の

出口(あるいは入口)にあるやおやで白菜と大根とネギを買ってそれもかかええて、

帰って来て階段上がりながら、となりを見ると、バットマンもブラッキーもさっき

の場所でハードボイルドの目をして寝ていたので、私もじゃあな、って言って、事

務所のドアの中に入った(大丈夫だったかな?かっこいかったかな〜?)。


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