5/22ののらねこ       文は田島薫



不可解な散歩

朝階段上がって行くと、ねこけもの道にバットマンがいたんで、よ、って声かけた

んだけど、ちょことふり返っただけ、3階まで上がると、シャンさんが洗ったエサ

皿が干されていたんで、そこにエサ入れて、上からねこけもの道の彼にそれ見せな

がら、また声かけたら、こっち見て、それに気がついたはずなんんだけど、来いよ、

って言っても上がって来ようとしないで、地上の隣の敷地に飛び下り、見てると、

建物と建物の間のすきまをずーっと歩いて行って、商店街にぶつかった柵の手前で

立ち止まり、そっから商店街の道路に出るのかなと思ってると、くるっと身体の向

き変え、元来た道をずーっとこっちまで引き返して来ると、左側の建物の裏口のよ

うな閉まった戸の前でお座りしてる、と思う間もなく、立ち上がって、ねこけもの

道前の敷地のあたりを嗅いで歩いたかと思うと、またねこけもの道に飛び上がって、

いよいよこっちへ上がって来るのかな、って思ってると、向こうへ歩いて行って、

今度は向こうの縁から、左の方の地上へ飛び下り、こっちの視界から消えた。

1時間後ぐらいに皿を見てみると、少し減ってるから、バットマン、ココア食堂の

安い食事する前に、一通り、前にもらったことのある他の食堂を点検してみたけど、

きょうは出てないもんで、最後にしょーがない、って、うちの食べたよーだ。


午後は路地見回り、小さな庭では横にした段ボール箱の中ににせつーとん、上にと

らが寝てて、2段ベッドの様相、上と下のふたりの眠そうな目がこっちを見た。


南側の弁当屋の前のバイクの後では、グレーのねこがきょうはひとりで寝そべって

いて、ふり返ってこっちを見たけど、やっぱり眠そうな目だった。


きょうはバットマンだけが歩き回っているようだ。


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