5/29ののらねこ       文は田島薫



北の小さな庭大人気

朝事務所への階段上がって行く手前で道路の向こうを見ると、朝1のシャンさんが

たばこを吸いながらサンダルで、どっか近所へ出かけて行く後ろ姿があった。

3階に上がるとちょうどバットマンが来たところのようで、シャンさんが洗って干

した空のエサ皿を前に、ありゃ、ないのかー、ってがっかりしていた。

私を見るとほっとしたように、にゃー、って言って、皿にエサ入れるのをそばで

待っていた。


午後北側の路地見回りに行くと、いつもは南側の路地にいるグレーのねこが道を

横切って、こっちを横目で気にしながら「小さな庭の家」の小さな庭に入って行

ったんだけど、そこにはすでに三毛がいたところに、とらも今来たところのよう

で、3ひきがそろったわけで、それでも、みんなもう友人同士のようで、気にして

ないようだ。

おまけに、そばではなんだかたらいのようなところに身を曲げて洗濯のよな、動

作をしている人間の男までいるのに、全然彼らは気にしてない。

仲いいなー、って思ってまた道路ののわき見ると、別の子とらが顔出していた。


南側の路地に移動すると、いつもねこさんがたむろしている気のいい弁当屋の前

にカリカリフードが山積みにされてるのに、肝心のねこさんの姿が見えない。

冬のころは北側より温かい南側路地が人気なんだけど、だんだん温かくなって来

ると、今度は北側路地が人気になって来るのかもしれない、おまけに、北のあの

小さな庭では多分最近うんまいもんを出したんだろう、さっきのように、ねこさ

んたち集合してたとこ見ると。


考えてみたら、北側と南側で見たとらも別人(?)だと思ってたのが、実は同一

人物(人物じゃないっ)だったってことがはっきりしたようだ。

意外に北と南の行き来はあったんだ。


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