●新連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回は、前回に続き下品な言葉も世相を反映してた、って話。



ガセネタ

民主党の永田議員による偽メール事件が世間を騒がした。

小泉首相と前原代表の党首討論をたまたまテレビで見て驚いてしまった。あの鼻が高

くいかにもノーブルな小泉首相の口から「ガセネタ」という言葉が飛び出したからだ。

ガセネタなんて言葉を聞くと、以前刑事もののドラマで目つきの鋭い渋顔の刑事が顔

をゆがめて、「ガセネタをつかませやがって!」とドスの利いた声でつぶやくシーン

が脳裏に浮かぶ。

辞書をひくと「ガセネタ」とは、的屋・香具師の隠語で「がせ」はにせものの意で

「ねた」は種を逆さに読んだもの、つまりでたらめ情報ということになる。

このインパクトの強い一言で「国政調査権発動を!」と叫ぶ前原代表は完全にノック

アウトされた。民主党の郷ひろみといわれる風貌の長いまつげをしきりにしばたいて

いたのは痛々しかった。

それにしても天下の国会でこんな下世話な言葉がとびだすとは・・・もっとも小泉首

相のおじいさんという人は、横須賀港で海軍に労働者や石炭、食料を送り込む請負業

「小泉組」の頭領で全身に昇り竜の彫り物があったというから、只者じゃない。きっ

と首相にもその血が流れていて喧嘩上手なのは血筋なのだろう。

さて私は、この一連の偽メール事件で教訓を得た。

ひとつ、ガセネタには注意しよう!

私は学生時代、苦い思いをしたことがある。試験に或る問題が絶対出るというガセネ

タを信じて、そこだけ勉強していって結局出題されず単位を一つ落としたのである。

最近では、絶対おいしいもんじゃ焼きの店だからと連れていかれ、ぐちゃぐちゃのま

ずいもんじゃ焼きを食べさせれた。(いずれも自己責任の話だけど…)

ふたつ、溢れる情報には用心深く賢く慎重に対処しよう!

世の中身近にガセネタが満ち満ちている。振り込め詐欺、虚偽メール、誇大広告、偽

ブランド商品、偽造耐震構造建築、等など。心のスキをねらう手口は巧妙だ。

みっつ、思いつきで行動せず物事は手順を踏もう!

これはそそっかしい私の肝に銘じねばならぬ。小泉チルドレンならぬ民主党チルドレ

ンというべき永田議員のようにはなるまい。慎重さに欠け、ツメも甘く、責任が取れ

なくなると入院なんて、まったくカッコ悪い。

それにしても「ガセネタ」なんて下品は言葉をレディが声を大にして連発する言葉で

はないのでございます。


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