7/10の日記          文は田島薫



都美術館パフォーマンス

日曜はプロデューサーの尾形さんの紹介で知りあった彫刻パフォーマンスアーチスト

の小林芳雄さんの企画によるパフォーマンスを見に出かけた。


去年に続き、開催中の日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ交流美術展の中で、連

動して行う、ってもので、小林さんの他、舞踏家成瀬信彦さんや、黒田オサムさん、

去年もすばらしいパフォーマンスで感動させてくれたクルド人舞踏家などが踊った。


パフォーマンスの開始が12時半だというので、30分ほど前に都美術館に着く予定で、

上野公園の噴水を過ぎた美術館の手前の小道を行ったところで、すでに成瀬さんがゲ

リラ舞踏を始めていて、彼のパートナーの郡司さんも写真を撮ってて、向こうから映

画監督の筒井さんがビデオカメラを向けていた。

成瀬さん一行は踊りながら観客を引き連れて、都美術館の会場まで入って行き、その

ままひとりで舞踏を続けているようだった。


舞踏パフォーマンスのある大彫塑室で、成瀬さんの実験的な観客挑発風パフォーマン

スをしばらく見て、これはまだウォーミングアップ的なものだろうと、決めつけて、

ちょっと先に絵画の展示スペースを見て回った。

去年と同様、日曜だというのに、客の姿はまばらで、世界の作家たちが東京のアート

の中心地のメジャーな美術館に出品するというので意気込んで制作したんだろう沢山

の力作を前に、有名アーチストの展示会の馬鹿げたような大入りにくらべ、無名とな

るといつもこのような不入りはなんとかならないか、って感じるのだった。


まだ時間になってないはずなのに、彫塑室から音響がして、行ってみると、すでにパ

フォーマンスが 始まったところのようだった。

観客は去年よりも若干多いような気もしたけど、100人に満たない数だった。

今回は小林さんと成瀬さん黒田さんが同時にからみあったり離れたりして舞踏のイン

プロビゼーションを行い、なんだか謎も秘めてておもしろかった。


次に、クルド人舞踏家のパフォーマンスが、去年のふたりの掛け合いがすばらしかっ

たので、今年、ひとりで始まった時、どうかな、って思ったんだけど、や、ひとりで

十分の存在感と緊張感が伝わって来て、世界で不幸なめに会ってる人々の化身のよう

に、私のこころに迫って来た。


最後に余興で成瀬さんが仕掛けたクルド人舞踏家を巻き込んだ全員のインプロビゼー

ションはコミカルでいて何かを感じさせる緊張感があった。


その後尾形さんや小林さんと針生一郎らのシンポジウムに出席したんだけど、夜小林

さんのアトリエで打ち上げをやる予定の彼らは最後までいるつもりのようだったけど、

ワールドカップの決勝を見る準備のいる私はそれを断り、盛り上がらないシンポジウ

ムのトイレタイムに脱走した。


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