1/23ののらねこ       文は田島薫



冬のでぶねこは元気

土曜に雪が降ってまだその残りが道ばたに目につく今朝は、風が冷たい。

ねこさんの姿は全然見えなくて、たいてい出勤途中の路地の家の前で、カート

にかかったカバーの上にいるくろとらだって、カバーの上のおまけが雪だと、

そこでくつろぐ気にはならなかったようだ。


事務所ドア横のココア食堂も、いつものエサ皿にお客さんが来る気配はないと、

思われていたんだけど、間もなくに、だれかが来たみたいだ、ってシャンさん

が言い、午後になって、耳のない茶とらが来てたよ、ってまた、言った。

(耳がない、ってのはうそで、片耳だけ犬のそれのようにたれているのだ)


茶とらも来たうわさだけなので、近所へねこパトロールに行ってみた。

いないいない、どこにも、弁当屋さんの前にも、小さな庭にも駐車場にも、

やっぱり、こないだの雪は外で暮らしてるねこさんたち、きつかったんだろう、

だいたい犬にくらべ寒さは苦手のはずだし、みんな風邪ひいて、どっかで寝込

んでるのかも知れない。

どうやら、きょう動いてるのは茶とらだけのようだ。


そう言えば、ここんとこ寒い日でもその茶とらだけはよく顔出している。

先週も何度か食堂で食事してるとこに遭遇し、たんび、彼は広いベランダの方

へ逃げて行き、こっちを見ていた。

私が、いいよいいよ食べてて、などと言うのを聞きながら、あれけっこう、無

料で食べてても問題なさそうだな〜、って顔をしてた。

で、ヒマがあったので、よく観察すると、けっこうでぶねこだった。

それだけ肉ついてれば、しばらく食べないでも大丈夫じゃないのか、って感じ

られるんだけど、その日も何時間かして、また来て食事してた。


人間もでぶの人は体温が高くて、雪の中Tシャツ1枚で過ごしても快適のようだ

から、でぶねこ茶とらもひとり元気なんだろう。


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