1/2の主張             文は田島薫



(専門家の自信ついて)

人はそれぞれ自分の感性に従って生きてるわけだから、とりあえず自分が感じる事

が世界の価値観のすべてなわけだ。

生まれて間もない赤ん坊だって、おいらはこういう気分だ、腹減ったー、とか、お

しっこ漏らして気持わりー、はやくそれを解消してくれー、って泣叫ぶ。

大人になっていろんな知識や、世界観、生活感などを身につけ、自分はこういう理

想を求めて生きて行きたい、って思い、世界はこういうものだとか、正しいと感じ

ることはこういうことだとか、美しいと感じるものはこういうものだとか、価値観

を身につけて行く。


どんなジャンルでも、自分でそれを専門に極めたと感じている人は、そのジャンル

での、「いいわるい」、を判断できると感じているんだけど、それが、そういった

人々に全員共通の答だったら、なるほど、物事を極めるってことは、こういうこと

か、って分かるわけなんだけど、どんなジャンルでもどんなにそれを極めても、意

見が割れることがある。


私はロック音楽が好きで、中学生ぐらいから数十年に渡って年がら年中聴き続けて

いるわけだから、ロック愛聴家としては極めた、ってもいいって感じてるんだけど、

つい最近聴き始めた若者に、あんたはロックの神髄を分かってない、なんて言われ

たりもする。


年末にローリングストーン誌から要約して編集した、ロック音楽人気ベスト100って

特集をしてる雑誌を買って読んだ。

昔からレッドツェッペリンフリークでお馴染みの渋谷陽一とCBSニュース解説でお

馴染みのピーター・バラカンが一緒にそれへのコメントを話し合っていて、なるほ

どなー、って共感するところが多かった。

それはどう言うことか、って言うと、ロックで説教がましい曲は(特に日本では)

「専門家」は嫌うのに、一般ファンには人気が高い、ってことだ。

例えば、ビートルズのヘイジュードとか、レットイットビーは私も大嫌いなんだけ

ど、渋谷陽一も大否定する一方バラカンはそれに理解を示すものの、その曲の説得

力に好意的で、イマジンに至っては、嫌い、って言う渋谷に対し、バラカンは好き

だ、って言った。

バラカンはおもしろい曲として選べば、ストロベリーフィルズフォーエバーの方だ

って言ったら渋谷はそっちが1000倍いい、って、言った。


確かにストレートにベタで表現して欲しくない、って気持は私にもあるけど、それ

を超えて、分かってても泣いちまった、って弱さの感性だって否定はできない。

この英国人と倭国人の反応の違いに、結局十分に詩を理解している人間と、ただ耳

新しい刺激でのおもしろさを求めてる、立場の違いも大きいかな、って気もした。

ベストワンになったボブ・ディランのライク・ア・ローリングストーンのあの詩の

インパクトの理由を、渋谷は理解してないようだった。

(かってに決めつけちゃったんで、渋谷さん、もし反論あったら、受け付けます)

だって、彼は風に吹かれての詩は解説できても、ライク・ア・ローリングストーン

の詩は解説できない、って言った。




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