2/20ののらねこ       文は田島薫



ニセバットマン現る

今朝は、寒いんだけどなんとなく春の気配もするような天気。

出勤途中のお馴染みの路地の、去年夏、つーとんが避暑リゾートに使ってた玄関

前駐車スペースのある家のそこに、いつもは曲り角の家のカートの上などにいる

くろとらが座っていて、おー、きょうは朝からねこさん発見で、幸先いーなー、

って思ってたら、道の先のダンススタジオの前にバットマンの後ろ姿。


こっちの方でバットマンを見たことないので、あれ、縄張り拡張したのかな〜、

それとも、となりの組長にごあいさつして、ダンス習う許可もらおうと思ってる

のかな〜、あるいは、って様々な思いをめぐらしながら、7メートルぐらいを歩き、

振り返って、彼の顔を見たら別人だった。(人じゃないだろっ)


本物より顔の覆面が少なくて、丸い白い顔が丸出し、っで鼻の下には剃り残しの

ヒゲのような、黒い毛が点在してて、おっさんみたいなふんいき。


なんだバットマンじゃないのか、気とられて、玄関前スペースのくろとらの観察

をないがしろにしちゃったじゃないか、ってすっかりニセバットマンを悪者にし、

またくろとらの方へ戻ってみたら、まだ同じ姿勢で座ってるだけ、向こうもこっ

ちの顔知ってて、かつて気が合うといったこともなかったし、ってことで、知ら

んぷりなので、なんだい遊んでもらえないのか、って私は今度はくろとらを悪者

にして、また、ダンススタジオ前に戻り、ニセバットマンちゃ〜ん、って感じで、

顔を近づけたら、お、っと、おっさん顔はびっくりし、4本足全部をいっぺんに、

小さくジャンプさせて踏み変えた。


このニセバットマン、すでにダンスを習ってる、と私は見た。

(なわけないだろっ)


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