2/6ののらねこ       文は田島薫



戦争と平和

あいかわらず寒い朝、ドアをきっちり閉めてると、外出から帰ったシャンさんが

ねことカラスのけんかがあった?って聞くので、?、って思ったんだけど、言わ

れてドアの外出てみると、エサ皿と周囲に1.5センチ前後の丸い血痕がいくつか

あった。

カラスに対して、バットマンは避けるんだけど、茶とらはそれに向かって行くの

をシャンさんは前に見たって言うから、茶とらが突かれたのかも知れない。

エサはそれほど減ってなかったから、けっきょく両者とも出血にびっくりして、

すぐに退散したんだろう。

そーいうわけで、野生の王国の争い、としては大して盛り上がらない話のような

ので、酒屋へ行くついでに路地ねこの見回りをした。


せまい庭のある家はどこもねこさん不在で、きょうは寒いからだめかな〜、って

思いながら、もう一本別の方へ移動したところ、何となく雰囲気が違う、考えて

みると、さっきの北側の日陰に対して、こっちは南側で、折しも日が差して来て

少し暖かくて明るい、こりゃ、行けるかも、と思ってると、案の定、弁当屋のわ

きのビルの前に止めた車のボンネットの上にグレーの子ねこが立っていて、のど

かに、なんか言っていて、その言っている先にうす茶の子ねこが座っている。

どっちも日なたでくつろいでいる様子なんで、私もうす茶の前にしゃがんで、顔

見てると、相手もこっちの顔をじっと見てる。


しばらく見合ってて、近づこうとすると、少し逃げそうなそぶりを見せるので、

止めてまた、見てる。

ボンネットのグレーも自分の会話のじゃまされたので、しかたなさそうに、そこ

に座ってこっちをじっと見てる。

こっちも見合ってるのに飽きたので、ゆっくり立ち上がると、うす茶とグレーは

そのままくつろいでたのに、そばの植え込みからいきなり、こい茶の子ねこが、

向こうへジャンプして逃げた。


けっきょく、路地裏の人気者である私は3人組に見つめられていたようだった。


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