●連載 がたやま娘のひとりごと 文はこんのたえこ
地方文化都市山形で、世界の様々なことを感じ考えている
賢くうら若い(?)娘の話を聞こう、疲れたおじさんおばさんたちよ!
今回のたえちゃん、なかなかいー絵になってる、って話。
チャリンコ
今まで乗っていたボロチャリがなくなった。
いつもとめておくところ。会社のビルの裏の駐輪場。まったくいつもの通りとめただだ。
会社が終わって、さあ、女の子たちで飲みに行こう!ってビルを出たらなかった。暗い
ところで探したから見つからなかったのかな、と思ったので、次の日の朝探したけどな
かった。
以前、そのチャリをフツーに乗っていたら、向こうからおまわりさんが来て「ちょっと
すみません、自転車見せてください。カギ壊れてますけど、どうしましたか?」って言
われて防犯登録の照会までしてくれた。問題なく「すみませんでした。ありがとうござ
います。」になったけど、あっはっは、すげえボロだから盗難自転車だと思われてもし
かたないのだ。とにかくすげえボロチャリなので、乗ってっちゃった人がいたら、とて
も奇特な人間だ。「ちょっとそこまで」のつもりでお乗り下さっても構わないが、人の
ものを借りたら返すのが「大人のマナー」だと思います。
母に言ったら「はあ?あんなボロ〜?警察さ、言え。見つかったって電話くるから。」
ってお氣ラクなことを言った。そして「あ、別の自転車あるある。」って言いながら物
置に走り、ビミョーなうすピンクっていうか淡いオレンジ色の、大人が乗るには小さく、
子供が乗るには大きいサイズの自転車を引っぱり出してきた。「ペダルラクラク♪軽い
♪」みたいなステッカーも貼ってある。「前の職場の人からもらったの。」
・・・もらったの??ふうん。だね〜・・・見るからに分類カテゴリに迷うようなチャ
リンコ。さらに母は、呆然とする私には全くお構いなしで、ご親切にタイヤの空気詰め
までしてくれた。ここまで親切にしてくれたので、乗って行かないワケにはいかぬ。
「ありがとうございます。」と言ってふと見たら、カギのキーホルダーに黒のマジック
ペンで「ヨシコ」って書いてある。。。「ヨシコだって。あたしヨシコじゃない。」っ
て言ったら「そう。ヨシコさん。大丈夫大丈夫。行ってらっしゃーい!」とワケの分か
らないことを言った。もう、そのチャリに乗って出かけないワケにはいかぬ。
無言のまま軽いペダルをこいだ。ペダルが軽いせいで、一生懸命こいでもちっとも進ま
ない。そして長いこと乗っていないせいか、チェーンがどこかに擦れてシャーコシャー
コいう。有難いのか哀しいのか、複雑な気持ちのまま、くるくるくるくるこいだ。