●新連載
虚言・実言         文は一葉もどき


横浜が縄張りの元タウン誌ライター。
貧しさにもめげず言の葉を探求し、人呼んで“濱の一葉”。
ウソ半分、ホント半分の身辺雑記を綴ります。
今回のもどきさん、健康のために納豆と挌闘。


ネバネバ

私は結構健康オタクだと思う。ちょっと具合が悪くなると世をはかなんでしまうタイ

プだ。だから健康のためなら死んでもいいとさえ思う。ピンピン暮らしてコロリと死

ぬピンピンコロリ信奉者でもある。健康食品4種類を飲み、健康に良いとなれば嫌い

な食べ物でもガマンして食べる。

嫌いな食べ物にネバネバ食品がある。困ったことはネバネバ食品が体にいいといわれ

ていることだ。ネバネバは嫌だけど体にいいものは食べなければと…とその辺のとこ

ろが悩ましい。

例えば、納豆なんか臭いし糸をひくのも気持ち悪いし、食べれば口の周りはベトベト。

でも大豆イソフラボンたっぷり、血液サラサラなんてフレーズを聞くと健康オタクと

しては見過ごすわけにはいかない。ネギやミョウガ、ノリ、カラシ、青じそなどそこ

らにある薬味をたくさんいれてお腹の空いているときにササッと食べる。

ところで夏の好物はなんといってもそうめん、蕎麦、冷やし中華。我が家はとりわけ

麺類が好きなのだ。今年の夏の昼食にずいぶん蕎麦を食べた。夏も終わりのこの時期

にはさすがに飽きてきた。

ちょうどそんな折、「ねえねえ、蕎麦にネバネバを組み合わせたとびっきりのレシピ

があるのよ」と友人から作り方のメモを渡された。早速試してみた。

茹でて水を通した蕎麦を深皿に盛る。その上にとろろ芋をすりおろし、オクラをサッ

と電子レンジでチンして刻み、さらに納豆をまぜたのをのせる。上からそばつゆを適

宜かける。さらにウズラの卵を落とし、飾りに刻み海苔をまぶしてできあがり。

見た目もきれいで、なんといってもこの三つの最強ネバネバがいかにも体に良さそう。

お味はというと納豆の臭みは消えており、おいしいそばつゆにさらに卵がコクを添え、

海苔の風味が絶妙。ネバネバの食感も蕎麦と一緒にツルツルとのどごし爽やかに通っ

て気にならないのであった。

「食べることに思いわずらうことなかれ」昔父からそう教わった。

でも、そう言われても、食べる快楽はそのまま生きる力に直結するものだ。家族の健

康を考える主婦としては毎日の食べる食べ物はおいしいか、まずいか、栄養的に偏っ

ていないか、カロリーはどうかなど思いわずらわなくてはならないのである。


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