4/24の主張             文は田島薫



(聞くこと感じることについて)

聞くことの大切さを論じた臨床心理学者の本を読んだ。

あたりまえのように誰でもが知ってることだろうけど、現実的にはそれはなかなか

難しいことで、なぜなら、たいていの人は普通、聞くことより話すことの方が好き

なものだから、と。


そういえば、私のこのコラムも勝手でいい加減な主張を書くのが楽しいからだし、

だれだって、何かの事物に対しての自分の感想なり意見なりを持ってて、それを聞

いてもらう時には気分がいいもんだろう。

何か主張をしてるうちに、テーマに集中する自分の話の展開に酔ってしまい、そう

いう認識を持った自分はなかなか鋭いんじゃないか、などと自惚れる。

そうなると、それに対する批判などは、もう、ありえない話、のように感じられ、

いきなり反発を感じ、それを全部聞く前に、反批判の発言を始めちゃったりする。


いつも口で正しいことを主張する人は行動ができない、行動すれば、それのすべて

を正しいものにすることが難しい、ということがわかるからだと。

人の行動に、それは正しくないなどと、批判を向けることはだれにでもできること

なんだけど、その人の行動の個人的事情によりそって、その失敗なり、間違いなり

を、理解してあげることは、なかなか難しいことなのだ、と。

そんな必要はない、って言ったとたんに、その被批判者に、批判を受け入れてもら

うことが難しくなると。

人は自分の話をよく聞いてくれる人間の言葉だけを受け入れるのだと。


なるほど、と思った。調子に乗ってたかも知れない自分を反省してもみた。

これは対話的状況の時により一層言えることなんだろうと思うけど、目の前に相手

のいない、一般論的な発言の時でも、発言の前には、その被批判者の立場なりを、

よく理解し、それの前提の上ですることで説得力が増す、というわけだ。


なんだか、あたりまえ過ぎるような、つまんないこと書いちゃったみたいだけど、

私を含めまだまだ、聞くことの大事さ、って実感されてない気がしたもんで。




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