4/10ののらねこ       文は田島薫



春のねこさんたち

きょうは小雨模様で、ココア食堂のエサ皿にはお客さんなかなか来ないかも

な〜、って思いながら出しておいたら、知らぬ間に昼過ぎには空だった。


なんだかみなさん忙しく動きまわっていて、エサ食べる時間も惜しんでる、

ようで、大急ぎで食べて、どっかへ行っちゃう、ってようなことで、出勤途

中の路地でもねこさんたちの姿は見なかったんだけど、シャンさんに聞くと、

それでも、朝、下の道をバットマンが歩いてるのを見て、それが、すごく痩

せちゃってた、って言ってたことも、その理由かも知れない。


それを裏付けるようなこともあって、例えば、先週の終わり頃、プロデュー

サーの尾形さんの友人のパフォーマンス彫刻アーチストの小林さんと夜、事

務所で飲んでいると、事務所の外で闇を切り裂くようなねこの怒り声が響き、

なんだなんだ、ってすぐドアの外へ出てあたりを見回して見たけど、姿かた

ちが見えなかったから、何か怒りのコミュニケーションしながらねこさんた

ちどっかへすばやく走って行っちゃったんだろう。


姿見えない、ってことだけじゃ、ここのコラムの盛り上がりに欠けるので、

いつものように、酒屋へ行くついでに、路地を見回りに行った。

なんだかんだ言ってても、路地に見回りに行きさえすれば、ほら、そこの家

の小さな庭には、ちゃんと、ねこさんが…って思いながら、目をやると、…

いない、しかし、こっちの路地にいなくても、もう一本の南側の路地の方回

れば、って、酒屋寄ってから、続きの文句を思いながら、弁当屋の前に来て、

ここのわきの方には2〜3ひきのねこさんがたむろ…、してない。


やっぱり春のねこさんたち、なんだか、食べることより忙しくどっかを走り

回っちゃってる、ってことのようだ。


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