今週の雑感(昔のもありの)              文はさぬがゆたか


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
感動もあり、そーでもないのもあり、で、謙虚にタイトルは雑感のまま。




何もしないうちに秋がしっかり来ちゃってなぜか焦る最近。

せっかくの夏も国民注目の選挙で大賑わいだったから、うっかり海パン片手に

大騒ぎでもしようなら脳みそ疑われてしまったに違いない。

で、何を考えながら仕事をしていたかというと、楽しかった昔の旅行ばかりを

思い浮かべながらマックに向かっていた。

楽しかったはずの旅行でも、思い出すのはなぜか失敗や恥ずかし話、それに珍事件

などなど。なるべくなら内緒にしておきたいようなものもあるけれど、現地事情の

話題も含めたよもやま珍道中話。その1。


「中華の匂い」

これまたう〜んと昔、某雑誌の取材ってことでカナダに一ケ月弱の間滞在することに

なった。撮影班など男三人であっちこっちとレンタカーで移動しながら毎日を過ごす

わけだけど、やはり困ってくるのが食生活。それこそ最初の頃はやれビーフだ牛だと

日本では食べられないような厚さにビックリしていたものの、あごの疲れとともに

胃袋もギブアップ。

同じカナダでも大きい街なら日本食レストランもあるでしょうが、あいにくのド田舎

ばかりの旅。どっぷりケチャップのフライドポテト、スクランブル・エッグ、大味な肉

甘〜いデザートケーキ! あ〜思い出すだけでも甘〜い。

 
 寝起きにテレビを付ける。英語ばかりで知らない人が喋ってる。

新聞を広げる。英語ばかりの文字でいろんな事が書いてある。

また、いつもの朝食の時間がやってきた。億劫だ。

日本からもってきたせんべいも、都コンブも、イカのおつまみももうない。

恋しい。

グレープフルーツジュースを飲んでベーコン・エッグとマフィン、野菜と

ヨーグルトを食べていつものように駐車場に降りる。

今日はカムループスという町から東に2時間ぐらい走った小さなスキー場が

目的地だ。そこで一発スキーを滑って、関係者とあいそ笑いの微笑み返しで

取材をするわけ。甘〜いデザートケーキをごちそうになった。

 さ、さ、そんなことじゃない。そのスキー場の近くの小さな町で起きたこと。

ホテルで食べるよりは何か町で食べようと意見が一致し車を停めた。

ぶらりぶらりと歩いていたら、何だか懐かしい香りっていうか匂いっていうか

漂っているじゃありませんか!「そうだ、あきらかに中華だ!」

五感のうちの臭覚だけが異常にがんばっているけれど、姿は見えず。

一体どこからだ?一体どこにいるんだ中華〜!

思わず歩道を歩いてくる少年グループに声をかけた。

滅多なことじゃ英語を使いたくないボクも本気だったので使う。

結局はへらへら笑いの彼らからは何も得られず、その匂いをたどった。

裏通りに廻り駐車場の奥から匂ってるみたいなので、入っていったら

そこは工場でみんなの視線をあびるはめになった。

積み上げられた箱の横には中華模様らしき印刷、どうやら製麺工場だったのだ。

 それから何がどう話したのか覚えていないけど町のはずれにジャパニーズ・

レストランがある!と聞き出したのは偉い。

陽が暮れる頃、ボクらは意気揚々とその店に向かった。太ったマネージャーが

中国語でハグしてくれながら迎え入れてくれた店はジャパニーズではなかった

けれど、もうどうでも良かった。まるで三日間何も食べていなかったかのように

むしゃむしゃ食べたのは言うまでもない。

食恐るべしの話し。次回に続く。


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