11/28ののらねこ       文は田島薫



バットマン調子に乗る

今朝は地下鉄駅から事務所までひとりもねこさん見なかった。

週末に山盛りにした皿は休み中に空になっていたけど、朝早く2階の住人が朝食出

したんで、お客さんたち3階に来て遅い朝食を待つ必要がなかったんだろう。


先週末、ベランダ側のガラス戸を見ると向こうからバットマンが歩いて来たので、

おーバットマン何やってんだい、って声をかけたんだけど、聞こえないふりして

るようなので、こらこら、って言いかけたら、なんだか、エアコンの室外機の下

に何かいて、それに神経を集中してるらしいことがわかった。

何だ?って思った瞬間、くろねこが飛び出て、それをこのやろー、って言いなが

らバットマンが追いかけ、ふたりでガラス戸の前を横ぎり階段を下りて行った。


以前、バットマンは平和主義者で他のねこにけんかをしかけたりしたのを見たこ

とはなかったし、どっちかっていうと、他のねこを見た時、親し気に寄って行っ

ちゃたり、けんかを売られても、じっとやり過ごしたりしてたんだけど、去年、

強力にけんか売られた時、ベランダの縁の絶壁に追い詰められて、んこをちびっ

てしまった恐怖体験があり、それからしばらく落ち込んでから回復して、その後、

また、他のねことにらみあいがあって、その時も身を引いたことを、情けなく思

っていて、何とか、カッコイイ男になって持てたいもんだ、って起死回生を狙っ

ていたのだろう。


今回のくろねこは、この間までこねこだったのが大きくなったやつで、実はまだ、

何もわからない子供のはずで、アンチャンにいきなりにらまれてびっくりしただ

けなのに、バットマンはおー、オイラもけっこういけるじゃないか、って調子に

乗ってしまったようだ。

いつもひとりぼっちで、さびしかったのに、友だちもできないんでどうしたらい

いかって考えてたら、こりゃいいこと知ったぞ、って、もっと調子に乗ってしま

うと、また痛い目に会っちゃうぞ、って言ってもお調子者は耳を貸さない。


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