11/7ののらねこ       文は田島薫



バットマン満腹でくつろぐ

今朝は朝から秋晴れ、ぽかぽか気温も9月並みだそうだった。

休み明けの皿は空にはなってるんだけど、あたりにお客さんの姿は見えなくて、

あいかわらずドアよこココア食堂は閑古鳥、やっぱり2階の住人がうんまいもん

出してるようで、それもなくなった夜中などだけ、しょーがない、あの安いエ

サでも食うかー、って3階に上がって来て食べていただいてるようなのだ。


エサ出してもだれも食べに来ないので、ベランダからあたりを見回していると、

地上のとなりの建物の物置きのような中庭状のスペースに身体のでかい若者が

いて、「もも、もも」ってなんかの資材にかかったブルーシートをめくったり

して誰かを探してるようだった。

なんだか小さな穴みたいなとこだったから、ももは恋人や親友といったもんじゃ

ないようだ、多分…、ってじっと見てると、やっぱりこねこが出て来た。

出て来たと思ったら、またひっこんでそれっきり、で、若者はまたしばらく、

呼び続けた。


しばらくして、となりの建物のベランダのすぐ下にある物置きの屋根にバット

マンが上がって来たとこだった。

おーいバットマン、って呼ぶと、にゃ〜、と言ってこっちを見たけど、愛そは、

それだけ、どしんと座り込むと満足そうな顔で足伸ばして毛づくろい始めた。

2階のうんまいエサ食べて来たようだ。

ベランダから下の2階のベランダをのぞきこむと、少しエサの跡がある白い

お椀が手前に2つ洗濯機をはさんで向こうにもう1個見えた。


もー、うんまいもん食って来たから、そっちは行かないんだよー、って、身体

で言いながら、くつろいで身体なめ続けるバットマンであった。


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