発          言
ココアに関係ある人物たちの発言のページを作りました。
多分、こころおきなく考えを表明するということで、まとまった量の文章になる場合もあるし、
月1〜年1ぐらいの掲載になるかもしれません。(2004/1 コメント修正)


11/14/2005
お待たせしました! 論客シャンさんの第10弾。
今回は、日本の国家財政のデタラメさ、について。

酩酊放談

たまには丼物もいいかな       

                      上 一朝(シャン カズトモ)

経理とか会計の世界では「丼勘定」は絶対に通用しない。

丼勘定とは、昔職人が腹掛け(通称どんぶり)にお金を入れて無造作に使ったことに語源

があるそうだ。その実態は、収支を考えないで無造作にお金を使うことを指す。これは、

商店のおやじさんが店先の笊(いまはレジ)からその日の売上をエイヤッとつかみ出し、

パチンコに行くようなもので、うまく儲かればいいがすってしまえば明日の仕入れに響く。

簡単に言ってしまうと、長期的、計画的にお金を使わないことをいう。

日本の国家財政は単年度制なのでこれに近い。その年度についた予算は使い切ってしまわ

なければ、来年度の要求に影響する。子供がお小遣いが余ったといって、翌月の小遣いを

減らされるのと同じで、石原都知事が提唱するようにバランスシートを作って国家財政を

運営しなければ近代的政治とはいえないだろう。

なぜこうなったかというと、現政権の母体である明治政府を作った連中には、細かいとこ

ろで国を治める能力がなく、現場の仕事を旧幕府の官僚に頼ったからではないかと思う。

徳川幕府はもっとひどく、国家予算という概念はなかったようだ。将軍は、自分達一族の

生活費と直接の家来である旗本から同心までの給与を心配していればよかった。幕府の閣

僚である老中には各々領地を持たせ、そこの年貢でまかなわせた。予算という概念がない

から、国防、治水という大きな出費があるときは各藩に押し付け、自分達のお金が足りな

くなると豪商から借りまくる。出金優先という思想である。それでも経済がおかしくなる

と勝手に通貨を改鋳して乗り切る。なお立ち行かなくなって、薩、長に倒された−。

出金優先という思想は、今の日本の財政とまったく変わらない。豪商から借金する替わり

に国債で国民に借金をするところが変わっただけで、徳川幕府よりもっと悪い。

11月8日会計検査院は04年度の検査報告を発表した。税金の無駄遣いや不適切な経理

は364件。総額約936億円とのことである。内訳は、資産の評価ミスが400億円。

これは資産だから今回の話の外。税金の無駄遣い215億円が問題だ。この中には社会保

険庁の契約業者への過払い約34億円。厚生労働省の裏金づくりに約7800万円がある。

これらはまったくの無駄金というか捨て金、ドロボーである。それに対して税金や社会保

険料の徴収漏れは約36億円だそーだ。税金や保険料は意図的に払わない人もいるだろう

が、ほとんどの人は払いたくても払えないのが実情ではないだろうか。

ここでようやく「丼勘定」がでてくる。下手な噺家の枕みたいなもので、なかなか本題に

入れないのがいいところ。

税金の無駄遣いが215億円ということは、そこにお金があったということである。帳面

のお金ではなく、現金があったのである。かたや、税金、保険料の徴収漏れは36億円。

助かる人がいるのだから、血と涙の未集金36億円に215億円を充てればいいじゃない

かと思ってしまう。それでも179億円の無駄遣いが残るけど…。

経理上は絶対成り立たない理屈だが、熊さん、八つぁん流にいえば「ちょいとその金、ま

わしてくんねぇー」簡単じゃない。たまには丼物もいいもんだ…とね!


11/7/2005

お待たせしました! 論客シャンさんの第9弾。
今回は、ご都合主義の馬鹿馬鹿しさ、について。

酩酊放談

えっ! 女性専用       

                      上 一朝(シャン カズトモ)

10月31日の朝のことでございます、いつものように地下鉄の階段を下りてまいります

てぇーと、六尺棒のようなものを持った制服の下半身が見えるではありませんか。

すわっ!大事件の張り込みか、これで今日の話題には困らない。と、ばかりにいそいそと

ホームに降りますと、それは「女性専用車。ご協力お願いします」と書かれた、見るも恥

ずかしいピンクの花柄のプラカードを持った高齢のガードマンの姿でございました。

なんでも、今日から階段に一番近い車両が「女性専用車」とやらになったのだそうでござ

います。これは、昔高級、今セレブのバカ者どもに人気のある沿線をもつ、某私鉄が始め

たもののようでございます。てぇーことは、セレブ志向には痴漢が多いてぇーことになり

ますな。

痴漢が多いから女性を特定の車両に閉じ込めてしまえってぇー仕掛けなのでしょうが、ど

ういうわけか、あの車両に乗るのはいやだという女性も大勢おります。てなわけで近くの

車両は追い出された男どもと、へそ曲がりの女どもで混んでたまったものでありません。

へんなもんですな。「女性専用車」を作れば痴漢行為がなくなるものでもなし。なんでも

「囲い込みをすればそれでよし、」てぇーのはおかしな考えだと思いますな。それに、高

齢のガードマンを配するなんて、いかにも「私は無害です」と言ってるようで、泣けてく

るじゃーありませんか。

占領下、アメリカさん(米軍ではダメ、当時の言い方じゃないとしっくりこないのは歳の

せい)のフェミニストが作らせた、殺人的混雑から弱者を守る「婦人子供専用車」とは意

味合いが違います。そもそも、痴漢なんてぇーものは社会現象でして、女のケツをさわる

息子や、ストリップまがいの服装で出歩く娘の躾ひとつできない大人が、弱者の味方をす

るふりをして、鉄道会社にに責任転嫁をするってーのもどんなもんでございましょう。

また、一説にはストレスの多い社会では性犯罪が増えるというデータもありますそうで。

それらの原因を解決しないで、檻を作れば解決するものでもなかろうに…と思いますな。

しかも、被害者が檻の中に入り、加害者が大手を振って歩き回る。これって、昨今流行の

差別じゃないのかな、なんて思ってしまいます。

差別なんてぇー言葉は声高にいうものではなかったのでございますが、アメリカの大学を

出た偉い大臣様が、何事も「差別化、差別化」と騒ぎたててから「差別化」と言わなけれ

ば時流にのれないという風になってしまいましたな。偉い大臣様のノタマウ「差別化」と

いうのは、都合の悪いことは原因を追求せずに「形」で解決してしまえというご都合主義

のように思えてしょうがないんですが。さて、いかがなものでございましょう。

だいたいが、太古の昔から女性専用は男に決まっておりましたものを−。

おっと失礼!脱線しました。話が地下鉄だからご勘弁のほど……。


11/2/2005

お待たせしました! 論客シャンさんの第8弾。
今回は感情論の限界を自覚することの必要性について。

酩酊放談

ひとつくらい いことがある       

                      上 一朝(シャン カズトモ)

今回は言い訳からはじめよう。小泉改造内閣の顔ぶれについての感想。

第一次小泉内閣は、俗に言う抵抗勢力の目を摘むために、周りの意見を取り入れながら自

我を徐々にだす。第二次内閣は、郵政民営化法案を通すために支配しやすい顔ぶれをそろ

える。そして今回の組閣では、いままで疎かにしてきた実務にたけた人材を配して小泉政

治の仕上げをする。「純ちゃんなかなかやるもんだ!」と…。

組閣呼び込みのテレビを見ながらこんなことを言ったところ、夜のニュースでどこの局の

コメンテーターも同じようなことを言っていた。少しばかり政治に興味があれば誰でも思

いつく簡単なことだろうけど、後出しジャンケンと思われるのも癪なので一言。


さて、本題はというと、杉村法相が夜中の記者会見で「(私の)思想、心情を理由として

死刑執行命令書にサインしません」と言ったが、その一時間後に、「思想、心情を理由と

して、という言い方は誤解をまねく」と言って文書で発言を取り消した。夕刊を見てない

ので分らないがマスコミは「失言」とし、鬼の首でもとったように騒ぎ立てるだろう。

しかし、杉村法相の発言にはいつもの失言と違うものを感じた。彼は法律家であり、弁護

士でもあるので死刑制度に対する疑問は我々以上に持っているはずだ。その気持ちが自然

にサインをしませんという発言につながったのだと思うが、思想、心情を理由という言葉

が感情と間違われては、ということに気がついて、すばやく丁寧な説明とともに発言を取

り消したのであろう。酩酊子はそこに杉村法相の知性を感じた。世の中はえてして感情で

動く。故後藤田正晴氏は法務大臣のとき前任大臣の3年半に渡って執行されなかった死刑

に対して「そこに法がある以上法務大臣は法を守る義務がある。それが法治国家である」

といってかなりの数の死刑を執行した。このときも世間は法を問わないで、感情でしか動

かなかった。

今回の発言、「……だからサインしない」そして「……は誤解を招くから撤回する」には、

思想、心情の上に法がある。死刑制度という法がある以上感情論だけでは解決できない。

という大きな問題提起とともに杉村法相の良心を感じた。変り映えのしない新大臣会見の

なかに、“ひとつくらい いいことがある”と思ったのは酩酊子だけだろうか。

憲法問題もそうだが、政治を考えるとき、知性や理性と感情というものを分けて対処しな

いと、日本は、“とんでもない感情”で動く国になってしまう。(05.11.1 記)


追記:夕刊を開くと型通りの批判はあったがトーンは低く、朝刊には、「当初の発言には

小泉総理からの注意があった。法相の立場を離れれば考えは変わらない」と、再三の発言

があり、民主党の前原代表が「発言が二転三転するようでは法相の資質に疑問を感じる」

と批判した。また、死刑廃止議連から好意的に受け取られ、就任挨拶に出向いた社民党で

は拍手で迎えられた。法の番人として後藤田氏の死刑肯定論も否定せず、そこに良心のゆ

れを感じる。等の記事が書かれている。

今回は、新聞の引き写しととられるのも嫌なので、やめようと思ったが酩酊子の直感を優

先して書き直さないことにした。

――と。またまた、言い訳を言っちゃつた。



10/25/2005

お待たせしました! 論客シャンさんの第7弾。
今回は筆者の政治以外の造詣の深さ、生活の知恵編。

酩酊放談

ティツシュもらうも楽じゃない       

                      上 一朝(シャン カズトモ)

何事もなく月曜日の幕を静かに引こうというとき「シャンさん原稿は!」猫の親方の声が

ひびいた。一瞬「宿題やったか」という親の声を思い出した。こういうときは二つしか方

法がない。べそをかきかき宿題をやるか、やったふりをするかである。このやったふりに

も二つの方法がある。机に向かってやったふりをするのだが、これはバレルと倍怒られる。

もうひとつはとにかくデタラメでもなんでもノートをうめるのである。たとえば2×2=

7でもよいのである。「なんてこの子は頭が悪いんだろう」で終わるから…。

繁華街を歩いていると、いやでもポケットティツシュを配る彼や彼女の姿が目に入る。

もらってありがたいときもあれば、うっとうしいときもある。毎日のこととなると彼らに

も法則があることがわかる。配る相手が若者と中高年とに明快に分れている。若者向けは

化粧品、イベント、携帯電話などの広告でティツシュも厚い。かたやおじさん向けは、パ

チンコ、サラ金、アダルトショップなどでティツシュも薄い。若者相手のものはいくらお

じさんが手をだしても絶対にくれない。ただしおばさんは別である。まだ配る支度をして

いるお兄さん相手に「ティツシュ頂戴」と平気でやっている。仕方なくひとつ渡すと「も

う二つ三つ頂戴」ということになる。安物とはいえスーツを着たおじさんは、やってはい

けないことだし、やっては街中の美学に反する。

街中のポケットティツシュは、鼻かぜでもひいて手持ちのティツシュが無くなったからと

いって簡単にもらえるものではない。

若者向けに配っているお兄さんがいたとする。すぐ前の女の子に渡したとたん、次はおじ

さんだと分ると、くるっと後ろを向いて気がつかないふりをする。相手に不愉快な思いを

させず、眼中にないというふりをするのだが、これは芸術的な所作といってもいいくらい

見事なものだ。

さて、おじさんはどうするかというと、まずよく観察することである。前方におじさんに

も渡してくれる彼か彼女を見つけたら、自然にその前を通るように人の流れをみさだめる。

間違っても人をかきわけてそばに寄ってはいけない。そして、ごくごく自然に、出された

から仕方なく受け取るというふうにしなければいけない。こう書くと簡単なようだがとん

でもない。あと少しというとこで人が横切ると彼は人の流れが途絶えたとみて向きを変え

てしまう。また、通行人が彼に道を聞いたりするとせっかくの苦労も水泡と化す。

客先から客先への移動の間、実利をともなったこんな遊びをしているうちになにかに似て

いることに気がついた。マラソンの給水だ。集団で走っているとき、スピードを落とさず

にスペシャルドリンクをとるのは至難の技であることはテレビを見ていてよくわかる。給

水所のかなり手前からスピードと走る位置を調節しなければならない。ポケットティツシ

ュひとつ、スマートにもらうのにも技が必要だ。

昔、「世の中に無駄というものはないんだよ」と言われたことがあるけど本当だね。

え、なに!こんなことを書くことが無駄だって? 2×2=7なんだから勘弁してよ。





10/11/2005
お待たせしました! 論客シャンさんの第6弾。
今回は政治に造詣深い筆者でも出た、はて?って疑問。

酩酊放談

これって いいのかな〜       

                      上 一朝(シャン カズトモ)

昨10月10日財務省保管の金貨のオークションがおこなわれた。総枚数1,105枚。

総売上5億7,000万円とか。最高額は明治時代の2円金貨で1千700万円。二番

目は金輸出禁止で発行が見合わされ、レア物として話題を呼んだ昭和7年の20円金貨

の、1千万円。

全部を地金にすれば2千万円くらいのところ、幻の金貨というプレミアムがつけばお宝

である。金庫に眠らせておいてももったいないので売却する…。

これなら良しとするが、総売上5億7,000万円を一般会計に繰り込むそうだ。これ

っておかしいと思いませんか?

国家財政が厳しいので国のお宝を売却して少しでも足しにするというのならわかるけど、

政府が国の財政の無駄使いを公に認めながら、財政が苦しいから国家のお宝を売って財

政の足しにするという。こんなのありですかね。

ロシア革命のときにロマノフ王朝の財宝を外国に売って共産党が革命の資金にした例が

あるけど、これより酷いと思いませんか。これでは国の財宝を持って亡命したどこかの

王様と同じじゃないか。

それに一般会計に繰り込むと誰のお腹の中に入ってしまうかわからないですぞ。せっか

く国家のお宝を売るのだから、その使い道は災害復興とか、福祉、教育などに関係のあ

る恒久的施設建設にあてるべきだと思いますがどうでしょう。その上、オークションと

いう形でなるべく高値で売るのなら、外国で売ればもっと高い収入が得られるはずなの

に国内でしこしこと売却するとはね。大切なお宝が外国へ流れないため、というのなら

とんでもない。良い物はアッというまに海外コレクターのところに行ってしまいます。

それにやりかたが変ですよ。まるで放蕩親父が退職記念に一人息子からプレゼントされ

たロレックスを「金がないからお前買え」と質屋へも行かずに息子に買わせ、その金で

孫に自転車を買ってやるようなものだと思いませんか。

これって いいのかな〜。

誰か経済に明るい人、筋道通った理屈を教えてくれませんかね。


10/5/2005

お待たせしました! 論客シャンさんの第5弾。
今回は小泉チルドレンがほんとのチルドレンだった、って。

酩酊放談

小泉チルドレンと武部先生      

                      上 一朝(シャン カズトモ)

小泉ドタバタ劇場の衆議院選挙も終わり、自民党は多数の新人議員を得た。

その後がうれしいじゃないですか。一つ派閥には入らないこと。ふたつマスコミには教

えた通りの言葉で答えること。と、小学生なみの新人教育が始まったとか―。

さて、国会の近くにある永田町小学校では…。おっと永田町小学校は本物がある。そこ

の生徒たちに「ぼくらは、そんなに程度が低くないよ」といわれそうなので小泉学校と

しましょう。

小泉先生の祝辞「みなさん入学おめでとう。この近所には悪いグループがあるから絶対

に入らないように。後は武部先生からいろいろと教わってください」いつも通りに発言

は簡単にすませて、あとはまる投げ―。

さて、その武部先生なるものは、どこの学校にもいる、いつもニコニコしていて親しみ

やすく優しい先生だったのですが、選挙に勝ったとたんに顔つきもきつくなり、言葉も

断定的な物言いになってしまいました。

「ハイッ みんなこちらをむいて」昨日までと違ってニコリともしないで威張っていま

す。

「小泉先生から注意があったように、みなさんの周りには悪いグループがあります。汚

職や仲間割れでだんだんなくなっていくと思いますがまだ油断はできない。みなさんの

中にはこの学校に入るために悪いグループの世話になった人もいるでしょうが無視しな

さい。絶対に悪いグループに入ってはいけない。なんでも小泉先生のおっしゃる通りに

しなければいけない。もう一つ大事なことは怖いマスコミになにか聞かれたら、国民の

おかげです。これから一生懸命勉強します。このふたつの言葉をかならず織り込むよう

に。そうそう、もっと大事なことがある。国会で先輩の演説を聞くときは、その内容が

良くても悪くても中身を考えないで拍手をすること。いいかわかったね」…と。

生徒に目をむけると「私にはほかの人と同じ事聞かないでね」親の都合でどこかの付属

から転校してきて威張ってる女の子。(こういうのいたでしょ)「わーい、料亭にも行

かれるぞ、グリーン車にも乗り放題だ」とはしゃぐ悪がき。「はい、勉強します」いっ

ぽんやりのクラスのマドンナ候補。親戚(夫)が議員なのでどこかすれたところがある

料理屋の娘。派手な服装の女番長。―こんなのばかりで小学生以下のことが行われるよ

うですねー。

小学校といえば、三権分立というのは確か小学校の社会科で教わったはず。

立法、行政、司法の三権だ。行政と司法は法律にのっとって事を行うので、異議があれ

ば国民からクレームをつけやすい。しかし、立法府は国民が選んだ【選良】が法律を作

るので、選挙でもなければなかなか文句をつけられない。あんな程度の連中に法律を作

ることを任せてしまっていいのかねー。

あたしゃ 知ーらないッと。



9/12/2005

お待たせしました! 論客シャンさんの第4弾。
今回は今回の選挙の小泉イズムに踊った国民の自戒について。

酩酊放談

バックトゥーザフィーチャー      

                      上 一朝(シャン カズトモ)

今回の衆議院選挙から大きなプレゼントをもらった。

靖国問題がかまびすしいころ、酒席談義で戦前の政治と民意の動きについて久し振りに

復習をした。戦前の国民は強権政治の犠牲者だという意見が大方をしめるなか、日本は

専制国家ではない。かなりの量の民意は政治に反映されている。という意見を納得させ

るには、残念ながら当時に生きてなく歴史のうえにしか知ることのできない身にとって

ははがゆいものがあった。

しかし、今回の選挙はその昔の情景をみごとに再現してくれた。小泉首相の郵政民営化

YESorNOは実に上手く組み立てられた論法で国民の支持をとりつけた。曰く、公

務員を減らすでしょう(税金で養っている公務員には一切ふれず)。郵貯を開放すれば

景気はよくなる(その、経済的システムは説明されず)。景気がよくなれば年金問題も

解決する(根源的問題である不公平の是正にはふれず)。「郵政を民営化するといま懸

念されているすべての問題が解決する」と。これらの直感的にわかりやすいフレーズは

あっという間に国民の支持をとりつけてしまった。もうひとつは、“自民党をぶっ壊す”

という利権と組織に乗った旧態政治家にあきあきしていた国民に受けたキャッチフレー

ズ。

これらを戦前の民意によって政治が動いたことと重ねあわせると面白いほどに一致する。

ポーツマス条約に怒った日比谷焼き討ち(日露戦争にかろうじて勝ったということを国

民は知らされていなかった)。柳条湖、虜溝橋事件(真実を隠し、マスコミも同調して

都合のよい民意を煽る)。“自民党をぶっ壊す”もみごとに国民の政治に対する閉塞感

を吹き飛ばした。長引く日中戦争と出口の見えない日米交渉。ときの国民の閉塞感はお

おきなものがあった。そんな時、一丁ヤルカ!と言われれば、よし、ヤッチャオウ!と

なっても不思議はない。日米開戦のときの国民の快哉はけして国家から強制されたもの

ばかりでないことは確かである。TVで、一有権者が「ナンデモイイカラ政治が変わっ

て欲しかった」といっていたがこれも民意である。

ちょっと横丁へ、小泉首相は自分の政策(まだ秘密)を実行するために在任4年間国民

の間に閉塞感をつくりだしておいて、時はいま!とばかりにゆるぎない権力を手に入れ

たのかもしれない。あながちうがった見方ではないような気がするが…。 閑話休題


楽しいタイムワープをさせてもらって気が大きくなったところで言わせてもらおう。

開票日深夜、民主党の議員が「今回の選挙は相撲のつもりでいたらプロレスだった」と

泣き言をいっていたが、民意というものは“何でもあり”なのだからそれをまとめるの

が政治というものだ。こんな基本的なことも判らずに政権をとろうなんておこがましい。 

政治が悪い、政治がな〜と、なんでも人のせいにしてきた人たちに言いたい。相撲もプ

ロレスもあるのが民主政治というものである。選挙が終わったから、「ハイお任せしま

す」ではなく、四六時中政治をチェツクしていなくてはいけない。

「小泉が悪い!」なんて酒飲んでくだをまいていてはダメだ。悪ければ引き摺り下ろせ

ばいいのだから…。そのやり方は、今回彼が教えてくれた。

小泉という人は毎日の自分の支持率が気になるタイプで、任期中でも国民の反発をくう

と退陣するかもしれない。支持率の調査は個人ではできない。そこはマスコミの責任だ。

戦前のおかしな民意もマスコミが煽ったのだから今度は間違えずにやってもらいたいね。



7/4/2005

お待たせしました! 論客シャンさんの第3弾。
今回は矛盾も怖れず気持を自由に表明!問題提起複数になっております。

酩酊放談

などてすめろぎは人間(ひと)となりたまいし    

                       上 一朝(シャン カズトモ)

梅雨があけるともうじき魂祭り―。

靖国の英霊達は今年も心穏やかではいられない―。

敗戦後六十年間、国民と国家に裏切られつづけてきたのだから―。

現人神である天皇を元首に頂き、国家の名において戦地へ送られた兵士は「戦死したら

天皇と同じ神として祀る」との約束をある意味では信じていたのです。この約束がなさ

れたために、いやいや戦地に赴いた兵士も、泣く泣く送り出した家族も心のどこかで天

皇と同格の神になれるという慰めがあったことは確かです。特に残された家族にこの思

いは強いと思います。今の人は「マサカ〜」と言うでしょうが、ここが教育の怖いとこ

ろです。今アメリカと戦争をしたことを知らない高校生が万単位でいることを思えばこ

の感じわかるでしょッ!

神の命により戦地に送られ、英霊となって帰ってきたら当の神は人間になっていた。三

島由紀夫でなくても「ナンデ〜」といいたくなります。

戦後すぐにGHQは靖国神社を焼き払ってしまえと命令を出しかけたのですが、いつの

間にか取り消されたそうです。理由は公表されていないのでわかりません。が、わたし

の考えでは「いかなる理由があろうとも国家に命を捧げた国民は手厚く葬る」というあ

たり前の理由だったと思います。

さて、総論賛成、各論反対の大好きな日本国はどうしたかと言うと、アメリカのおかげ

で戦時賠償もうまく進み「国体は護持されたぞ!」と喜んで靖国神社を旧態のままにし

ておこうとしたのです。ところが国内の戦後処理をおざなりにしたために反体制派の連

中からつきあげをくうと、政教分離の名のもとに「あなた達は国家が祀る」の兵士との

約束を平気で破るのです。そして、都合がよくなると旧態に戻そうとします。

この泥沼に入ったような靖国問題を解決する責任は政府にあることは勿論のこと、職業

軍人と兵隊の区別もつかない連中が、いくら敗戦国とはいえお前達の死は「無駄死にだ、

犬死だ」とワメキ、もっと悪いことにお前達は侵略の先兵だ、戦争に行った者は全て悪

だときめつけた政治勢力にも大きな責任があります。

小泉総理の靖国神社参拝に対して中国、韓国から参拝中止の要請がきました。これを

「政治的駆け引きだから応じる必要がない!」と声高にいう人たちがいますが、こんな

ことはあたりまえで自国に有利ならなんでも問題にするのが外交というものです。靖国

問題をこんな形でしか受け取れない人間はなんと貧しい心の持ち主かとあきれてしまい

ます。日本の遺族の気持ちを大切にするのなら中、韓両国の遺族のことも同じ気持ちで

考えるのがあたり前ではありませんか。彼等はすぐに平和条約締結時に問題は解決済み

だといいますが、それならJR西日本の事故の遺族に「あなた達は保証金を貰ったのだ

から死んだ家族のことは忘れろ」と言えますか。と、アンポンタンどもに聞いてみたい

ものです。

― そりゃ、理屈はそのとおりですけど彼らには忖度というものが無いのでしょうかね。

話があちこちに飛びますが酩酊放談だから勘弁してください。靖国神社というところも

変なところです。一度祀った戦死者は絶対に手放さない。キリスト者の遺族が合祀から

外してくれと申し入れたとき拒絶されました。神田明神の将門の霊だって明治政府に追

い出されましたが最近戻っています。神様なんてもっと自由なものではないのでしょう

か。そのうえ軍人を祀るところだと思っていたらいつの間にか民間人も祀っている。時

流にのって都合のいい時は説を曲げる。今時の新興宗教まがいのおかしな神社に肩入れ

する政府もどうかと思いますが…。それともうひとつ文句がある。いまだに社殿に菊の

御紋章がついている。政・教は分離でも皇・教は分離しないでいいのかな〜。

6月28日、天皇、皇后がサイパン島へ戦没者の慰霊にいきました。その時TVのイン

タビューに答えた二人の言葉が靖国問題を総括しているように感じます。サイパン島で

戦死した人の遺族は「天皇がバンザイクリフに立ち、『天皇陛下万歳』といって身を投

げた人に思いをはせ、どう感じたかを聞いてみたい」と。サイパン島で生き残った兵士

は「これで戦友たちは救われました。心安らかに眠ることが出来るでしょう。ありがた

いことです。私もそうです」と。

靖国問題は、トツクニの物言いで右顧左眄するのでなく、日本国民の知恵をもって解決

しなければいけないことだと思いますがどうでしょう……か。

また、「文章長ェーぞ!」と言われそうなのでやーめたッ!と。尻切れトンボで終わる

ところも酩酊放談のいいところ。




6/6/2005

また、「絹布の法被」をくれるのかな…

あまり無関心だと酷い目に遭いますぞ    

                        上 一朝(シャン カズトモ)

今回は天皇制について書きます。

南北朝の昔はさておき明治になるまでは天皇は直接政治に関与しませんでしたが、為政者

は天皇を利用してきました。普段は天皇家を粗末にしていた幕府もなにかというと天皇家

から夫人を迎えたり、自分達の都合の悪いことは天皇におしつけたりしてきました。ショ

ーグンとタイクーンで責任をなすりつけあった開国のドタバタ劇がいい例です。まさに、

“叶わぬ時の神頼み”ですね。


敗戦直後、昭和20年12月に東京の焼け野原で家を失った人たちを対象に東京大学が行

ったアンケートに天皇制支持が78%、反対が5%という結果があります。戦時下の恐怖

が残っていたとしても案外正しい数字だと思います。また、普段天皇に興味がなくても事

が起こるとTVに煽られて皇居前へ記帳に出かける。昭和天皇の大喪の時、今風の若者が

TVのインタビューに対して「特に天皇は意識していません。ただ(天皇とつながる)歴

史の1ページに名を残したかっただけです」と答えていました。日本人は天皇が好きなん

ですね。もっともこれに対して天皇制を「自発的服従」を核とする「日本民族宗教」であ

るという学者もいますが。


憲法を改正して天皇を元首にという声がありますがどうでしょう。

明治以降の政治家が天皇を政治の世界に引っ張り出して天皇の位置(地位ではありません)

をメチャメチャにしました。彼等は、天皇を悪用し(明治革命のときのニセの錦旗なんか

いい例ですが、これは別の話)、天皇の名において国の内外の人を殺し、国民を苦しめて

きました。

昭和天皇の周りには、侍従、武官を含めて天皇のなんたるか(神ではない)をよく知るリ

ベラリストがいて天皇を政治から守ろうとしましたが、政治家がだらしなかったので天皇

を軍部に掠め取られてしまいました。天皇が元首であるとこういう危険性があります。国

民の精神的よりどころ、と独裁者。― 天皇制は諸刃の剣です。


精神文化的な存在としてならば天皇制はあってもいいと思いますが、これは天皇制が上手

く機能することが条件です。上手く機能すると簡単に言ってしまいましたがこれは大変な

ことです。国民に政治的、文化的な知恵がなければ出来ることではありません。

いまの政治家、役人の能力で「天皇を日本の元首に」なんてもってのほかです。明治、大

正、昭和前半まで天皇を悪用していい思いをした人達の流れをくむ連中は、明治憲法下の

天皇制の復活を望み、苦しめられた人達はそれに反対をしています。

天皇を元首にしようと言っている人達はなんなのでしょう。心底天皇を崇拝している人も

いるでしょうが大半は天皇を担いで威張りたいだけだと思います。勲章をジャラジャラぶ

ら下げて陪席したいのでしょう。象徴天皇では格が落ちるとでも言いたいのでしょうか。


宮内庁は天皇制のノウハウを持たない役人の持ち回りで、皆無責任のかたまりです。これ

ではまともな天皇制など維持できるわけがありません。ここのところ天皇は政治に利用さ

れっぱなしです。のんきに無関心をきめこんでいると、昭和軍部独裁の再来がないとはい

えません。もうひとつ彼らの求めている天皇制には大きな問題があります。皇太子一家の

トラブルに見るように人間としての天皇家の人権を否定することです。中途半端な天皇制

を作ると、国民、天皇家と二重の不幸が生じます。


問題は、先に書きましたが日本人が天皇を好きだということです。好きという言葉がいけ

なければ「自発的服従」でもいいです。それにより、正面から天皇について議論しにくい

空気があります。天皇元首論者は悪知恵にたけています。ぼんやりしているとアッという

まに、また、天皇をかすめとられてしまいますよ。


4/25/2005

また、「絹布の法被」をくれるのかな…

誰か、お願いしましたか?    上 一朝(シャン カズトモ


去る4月15日衆議院憲法調査会最終報告が衆議院で議決されました。これにあたって

政府高官は「5年前だったらこうはいかなかった」と発言したそうです。

これは、「5年前では、国民に憲法改正の重要性がわからず、今日ようやく国民の間に

改憲への気運が高まってきた」。と言いたかったのでしょうが、そうでしょうか。

私には、「5年前は、国民の政治への関心が高かったけれど、今はまったく無関心にな

ってしまった。おかげで可決できた」(シメシメ)と聞こえます。

衆議院憲法調査会が発足した5年前から今日までを考えてみましょう。国民の政治への

関心とは、道路公団民営化、北朝鮮拉致問題、郵政民営化であって、憲法の「ケ」の字

もなかったような気がするのは私だけでしょうか。

憲法調査会の検討内容は、九条を含む軍備、天皇制、安全保障、人権、環境権、など多

岐に渡りましたが、私には改憲の主目的は軍備と天皇制にあって他のものは添え物に感

じられてなりません。

昭和21年現憲法が公布されてから今日まで憲法を守ったために、国民生活が大きく不

自由をしたと云う事があったでしょうか。改憲を声高にとなえる人は、いまの憲法は現

実に合わないから改める必要がある。といいますが、その現実とは現憲法を守ったゆえ

の現実でしょうか。私は違うと思います。改憲派といわれる人が一番こだわる軍備をみ

てみましょう。

敗戦で軍隊は消滅しました。昭和25年朝鮮戦争勃発と共にGHQの要請で、いや、占

領下なので命令でしょう。警察予備隊が作られました。警察なので軍備ではない、とい

う論法なのです。上手いもんですな。つぎに昭和27年日本独立とともに保安庁が設立

され警察予備隊は保安隊と改名されます。このときは再軍備に繋がるということで大き

く議論(迫撃砲ハ侵略兵器ニアラズ、という珍説(笑)もあったようです)されました

が、憲法の、軍備は持たずという文言はどこえやら。冷戦下という国際情勢と、国内で

もメーデー騒乱など社会不安もあったため、国会を通ってしまいまいした。そして、昭

和29年防衛庁設立、いよいよ、自衛隊の発足です。

この時も自衛の為の軍備は軍隊に非ずという解釈憲法です。この後は日陰者の自衛隊と

言われながらも大きな問題は起こりませんでした。ところが、昭和60年イラン・イラ

ク戦争が起こります。この時アメリカから掃海艇派遣の要請がありました。しかし、時

の官房長官の掃海艇派遣は憲法に抵触する、との身体を張った反対で事なきをえました。

少し前までは(エライ人)がいたんですね―。

続いて平成2年の湾岸戦争。国連平和協力法が廃案になるなど、まだ憲法を守る気運が

ありましたが、結果的には戦争終結後掃海艇を出してしまいました。このあと平成4年

国連平和維持活動法が成立して自衛隊のカンボジアPKO出動が行われます。このあた

りから自国を守る自衛から、アメリカの支配圏を守る集団安保構想にすり替えられて、

憲法のどこにも書かれていないことが実行されていきます。

「現憲法は現実に合わない」という人は、この憲法無視の現実を「現実」と捉えていま

すがそれでいいのでしょうか。「一度も守らなかった憲法を改めなければならない」と、

どうして言えるのでしょう。

また、情緒的に「現憲法はアメリカが作った憲法だから改めるべきだ」と言う政治家も

いますがそういう人に限って親米一辺倒です。それほど仲のよい国が作ってくれた憲法

なら守ればいいじゃないか―。と思いますけど(笑)。

確かに現憲法は改正の必要があると思います。しかし、いま行われている改憲論議の内

容は、国民の大多数が求めているものには見えません。

憲法というものはその国の文化だと思います。それが“政治の手段だけ”で論議される

ということは如何なものでしょう。

皆さんに聞きたい。誰か、(憲法改正をして下さいと)お願いしましたか?


漫談ならぬ漫筆もあまり長いと読んでもらえないので、この辺で終わりにします。政治

問題って漢字が多くていやですね。ゴメンナサイ。 ニャーォ♪



イラク“派兵”自衛隊,
“恐怖”のド・ツ・ボに!?

文/エ・デュース&蒼山舎 長瀬 治/1/19/2004

ながせ先生、映画「ボーリング・フォー・コロンバイン」を昨年見て、
その感想を先週送って来たんだけど、納得しない部分があり、
推敲するからまだ出しちゃだめだ、ってことで先週止められてたやつ
いよいよ登場!
(…鳴りものがおおげさだったわりに文章短いかも)




アメリカの高校生2人が自ら在籍する高校で銃を乱射し,
大勢の死傷者を出した事件は,
かの国のこととても記憶に新しい。

『ボウリング・フォー・コロンバイン』はこの事件を扱った映画で,
“扱った”に違和感を抱くとするのなら,
同事件を素材として,
アメリカがいま標榜する
大義”のいち側面をあぶり出している,
といったほうが適切かもしれない。

以下に同映画から観てとれたことを箇条してみる。

**
アメリカは,


@“恐怖”の刷り込み(モチベーション)

A“恐怖”の連鎖(チェイン)

B“恐怖”の商人(マネージメント)

C“恐怖”の世界化(グローバリズム)

注)グローバリズム=アメリカナイズ。
 グローバル・スタンダードはアメリカ標準規格となろう。

***
“戦地”に赴く,ことから由来する“恐怖”。
何のため,誰のために怯え震えなければいけないのだろうか……。

****
「徴兵制」という文言が,
戦後59年たったこの日本に,
いままさに“復活”浮上している。
“報道管制”=「大本営発表」にしてもしかりである。

*****
―その朝,少年たちは普段と変わらずにボウリングをしていた―





文/エ・デュース&蒼山舎 長瀬 治/7/31/2003
 アイヤ〜,しばらく。
 この3か月間,大波小波を乗り越え,“ネット・サーフィン”をしながら,日本列
島津々浦々,果ては海外のHPをスペース・ジャックし,当コラム『発言』―言いた
いことを言ってしまう―を設置していたのだ。
 「発言コラムのネットワーク化」(世界同時配信受信計画)とでもいっておこう。
 なお,『発言』―言いたいことを言ってしまう―は,雑誌『話の特集』の評判コラ
ムのタイトル名をそっくり拝借したものである。
 「言いたいことが言えなくなりそうな時代」だからこそ,この『発言』がますます
意味をもってくるであろうことを確信する。

《発言》―1
“品性下劣”でも致し方ないが,「品格」を失うな!

 「レイプする人は元気なヒト」,「犯罪人の両親は市中引き回し!」「子どもの
いない女性に税金を課せ」などと,今に始まったわけではないが,政治家と称する人
種の“不適切・不穏当発言”が耳につく。加えて,発言の経緯を後日とやかく説明す
る姿は,醜悪のなにものでもない。
  「(SEXなんか)やって減るモンじゃない」,「献血すればエイズ検査にもな
る」と,訳のわからないことを平然と口にする地方議員,それも女性議員がいるとも
聞いた。そして,この発言の現場に居合わせた女性は唖然とし,自分の耳を疑い言葉
を失ったという。二度とそいつの顔は見たくない,と彼女が決意したのは当然であ
る。
 どいつもこいつもだが,誤解を招き,説明を要するような曖昧で気配りのない発言
は厳に慎むべきだ。これは基本原則である。
 とは言っても,欧米では当たり前の「ノーブレス・オブリージュ」(社会的地位に
あるヒトは,その分だけ社会的責任が重い)のかけらもない人種相手に,いくらこれ
を説いても“ウマネン”(馬の耳に念仏)である。
 困ったモンである。


《発言》―2

“絶滅危惧種”としての『ミズガキ』の復活を望む! 

『ミズガキ』をご存知だろうか。
 いまや絶滅の危機に瀕していることから,“絶滅危惧種”(レッド・データブッ
ク)として,その復活がいわれている。
 ―この生き物はその地域の環境を知る,もっともわかりやすい生物指標です。ま
た,ミズガキがいれば,その背景には川や水辺での遊び方や,危ない場所を教えてく
れるガキ大将や大人がいるというコミュニティも見えてきます。そして流域とは,そ
うしたコミュニティが連綿とつながってできるもの……ということで,ミズガキ復活
を水辺の環境を復活させるというさまざまな活動に連携させています……と話すの
は,NPO『荒川流域ネットワーク』代表・江戸川大学社会学部環境デザイン学科教
授の惠小百合さんだ。
 そう,『ミズガキ』とは“かつて水辺で遊んでいた生き物のひとつである元気なガ
キたち”のことをさしているのだ。
 惠さんら同ネットワークは,「あなたの家も水源地」をテーマに荒川流域300箇所
の年1回一斉水質調査などを通して,流域一千万人が住む荒川の自然再生をめざして
活動。『ミズガキ』の復活もその一環として位置づけている。
 ―これからの河川デザインには,「この川にはこの手法がふさわしい」というよう
な多様なやり方が採られるべきなんですが,そのためには自分の地域の川を知る人を
増やすことが必要になってきます。つまりミズガキで,かつて遊んだ川や山や地域の
ことを知っているミズガキたちが,技術者になったり行政の意志決定者になったり,
市民として流域経営にかかわっていく……というのが,一番望ましいのではないかと
思います。そういう意味での“ミズガキの育て方”というのは価値があるし,面白い
と考えています(惠さん)。 往年の“ミズガキ”たちよ,決起せよ!!
                         (協力:『望星』井上朝雄)

《発言》―3 
新連載《来て見て『館山』》
―それって,詐欺じゃん!!―の巻/宮城健児

         *
 今からおよそ15年前,「館山」(千葉県館山市)を初めて訪れた時,知人が忠告し
てくれたのは,館山湾の“北条(ほうじょう)海岸”で泳ぐなということであった。
なぜなら,「あそこのは海底は,ヌルヌルしていて,気持ちが悪いからだ……」とい
う。
 その後,館山に居を構えてからも件の忠告をしっかり守っていたが,一度だけ,学
校行事に参加して北条海岸に入ったことがある。 やはり海底はぬるぬるとしてお
り,“ヘドロ”が溜まっているという感じだった。
 ほかにもきれいな海岸があるのに,どうしてこんな海岸で子どもたちを泳がせるの
か,と怒りに似た思いがあった。
         *
 先日,職場の新人が,「館山にお住まいだと耳にしましたが,館山はイイトコで
しょ。海水浴に釣りといった,楽しみがあるし……」と,親しげに話しかけてきた。
 
 で,「そりゃイイトコだよ。でも,場所によってはヒドイところもあるけど
ネ……」と,
北条海岸が泳ぐべき場所ではないと説明。
 さらに,「一応,海水浴場にはなっているけど,地元のヒトは,だれも泳いでない
よ」とアドバイスしたら,その新人君はすかさず,
「え,エーッ,それって詐欺じゃん!」。
         *
 毎年,夏になるとたくさんの「海の家」が建ち,大勢の海水浴客で賑わう北条海岸
を見ながら,いつも「気の毒に……」と思っていた。でも,“詐欺の片棒”を担いで
いるとは考えもおよばなかった。
         *
 いま,北条海岸では,「広い浜辺があれば人が集まってくる」などという,“日本
国家によるイイ加減な提言”によって,人工海浜のための突堤ができ,山砂が投入さ
れ,海水汚染に拍車がかけられている。
 さらに,館山のシンボルとなりつつある『ウミホタル』の生息地に大桟橋が架けら
れようとしている。
         *
 何年か後,館山を訪れた人に「ウミホタルはどこにいるんですか?」と聞かれ,大
桟橋を指して,「元はあそこに生息していたんですが,今は“水槽”で飼っていま
す」なんてことになったら,それって,ヤッパリ詐欺じゃん! になるよネ……。
 注:北条海岸は館山が誇る大海水浴場で,館山の“表看板”として今夏も大勢の海
水浴客を集めている。


《発言》―4=次回予告
03年統一地方選挙「無投票選挙」に“泣いた新成人”と“ほくそ笑む現役議員”!


 


文/エ・デュース&蒼山舎 長瀬 治/4/11/2003

'03年統一地方選挙メモ1〜4
自主・自立せよ!“地方議員”――パラサイトにも期間限定のほどがある

<発言>メモ1
 “住基ネット”(住民基本台帳ネットワーク)が,極めて一部の市区町村を除き,
なし崩し的に導入(本格的稼働は8月)されて8ヶ月。悪用や情報漏れなどはあり得
ないというが,ネットが安全かつ有効に機能しているか否かの判断ははなはだ難し
い。
 たとえ不正使用が発覚したとしても,メンツにかけて「なかったことにしよう」と
その失態を隠し,闇に葬るであろうことは,これまでのさまざまな「隠蔽事例」をみ
るまでもないからである。
 やはり個人情報の一元化に対する“未知への不安”はぬぐいきれない。
 そしてこれは「民意」でもある。
 都道府県議選に続く市区町村議選のただなか,選挙公約にこの“住基ネット”を何
らかの形で謳い,民意を問う候補者が何人いるだろうか。いまさら住基ネットを争点
に据えても票につながらない,とでも考えているのだとしたら,それこそ問題意識の
欠如どころか,怠慢,堕落のなにものでもない。

<発言>メモ2
 『'03年度「市区町村別選挙公約&広報」実例マニュアル』という年度版の“裏
本”があり,これが意外と丁寧なつくりで,「これで当選できました」という読者?
からの「体験記」まで載っているらしい。これによると,今期のキーワードはやはり
地方分権,市町村合併がトップで,さらに福祉,高齢・少子化,男女共生,環境……
が,実例とともにずらりと紹介されており,これらを好きなようにアレンジ,もちろ
ん“有権者ウケ”を最大限考慮して草案づくりに励むという仕組みのようだ。
 しかし,これには思わぬ落とし穴がある。あまりにもマニュアルに忠実な出来映え
で,似たりよったりな公約のオンパレードという不格好をさらすということだ。無自
覚,無節操もここまでくると感極まる。
 今一度,候補者がどちらを向いて,何を志向しているのかを公約,「選挙公報」
(町村では少ない)などを通してじっくり検証,吟味してみたい。

<発言>メモ3
 ――政府は,今回の合併は強制的なものではなく,あくまでも市町村の意志による
ことを強調している。しかし,合併の是非を判断しようにも,現状ではあまりにもそ
の参考とすべき資料が希薄すぎる。合併問題は,地方自治の根幹に関わる問題であ
り,私たちが住む町をどういう形で生き残らせ,また,どう発展させていくのか,そ
の絵図が明確に示されない限り,合併の問題を論じることはできない――。
 ある町議会広報からの抜粋だが,文中の「資料が希薄すぎる」「絵図が明確に示さ
れない」の語句に,この期に及んでもあくまで“政府からの指示待ち状態”であるこ
とが露呈されている。
 これでは,「だれかに指示されないと動けない」といわれている若年層に顕著な行
動傾向を批判することはできない。と同時に,この議会は“地方分権の理想や展望”
すらも持ち合わせていないのではと勘ぐりたくなる。民意とはほど遠い話だと言わざ
るをえない。
 「合併に反対する自治体側の意見を新聞で読んでいたら,『合併後の地域の将来像
を描けるビジョンを示して欲しい』というのがあって仰天しました。そんなものまで
国に求めるから,『中央集権的分権』から抜け出せないのです」とは作家・エッセイ
ストの吉永みち子さん。さらに,「住民も自治体も,パラサイトの気分から脱却でき
ていないのね。国はまだ,手や口を出したがる。地方には『マジで考えているの。
ちゃんと自分で将来像を決めろよ』と言いたいし,国には『親の都合を優先させる
な。最後まで子に決めさせろ』と言いたい」と話す(『朝日新聞』2003年4月4日付
け朝刊)。

<発言>メモ4
 “無党派”“しがらみや既得権を断つ”が叫ばれる統一地方選挙なればこそ,民意
をどこまで組み入れ,反映できる候補者であるのか否かを監視し続けよう。それは,
各地方自治体住民の“民度”にもつながるからだ。「議決権,議案提出権こそが地方
議員の最大のメリットだ」(メリット,デメリットが果たして適切か?)とする困っ
た候補者がいまだいる限り,監視の目を休めてはならない。

<関連HP>
・チホウ政治じゃーなる=http://www.kabashima.com/
・国民番号制に反対する会=http://kokuminbango.hantai.jp/
<関連書>
・『市民派議員になるための本』(星野智恵子著,学陽書房刊)
・『一円と一票』(宮川淑著,エ・デュース刊)
・『「地元利益」定数は憲法違反』(宮川淑著,アストラ刊)



掲載予定だった原稿が遅れてますので、ココアメンバーになって
製作の本拠を栃木に移した「ソノ世界的イラストレータ」のサニーが
瞬間芸エッセーを書きました。

「緊急」雑感

文/佐怒賀豊11/5/2002

田舎にひっこんではや2年。で、何が変ったかと言えば
たまの上京で驚く人の多さに今更ながらにあたふた。
巷にはこれだけの人が生きているんだからそれぞれに何かの思いや役目が
あるんでしょう。

将棋のように歩がいて桂馬がいて香がいる。
角や飛車なんてのも活動的でかっこいい。
飛車角交換なんてのはやっても、歩なんかと交換された日には目も当てられない。
そしてやっぱり王将がいる。
廻り中の金銀リストラしても最後まで生き抜く。
でも王将が歩で詰められちゃう時なんざ惨めだね。

さしずめ今の僕はず〜と田舎で「歩」をやっているわけで「金」になれる日を
楽しみにしてるようなものかもしんない。
でもなるには一歩ずつ前身しながら最前線に向うしかないんだよねとも思ってる。
ちなみに「歩」バック出来ないんだわ。

将棋で唯一不作なのは2Dであって3Dであったらな!と思うことかな。
ならば飛車が飛び込んできても「サッ!」と飛び上がって避けられる。
王将だって詰められないで逃げられるしね。
そのへん今の政界にも似てる気がしてる。
小泉さんだめそうでもサッと舞い上がってないかい?



緊急アピール実行委員会

文/長瀬 治/9/30/2002

過日,
私たちココアスタジオ,編集制作「エ・デュース」,スタジオ「コム」などによる,
『住基ネット粉砕』緊急アピールを関係各方々へ送信した結果,
思いがけなくもたくさんの反響を得ました。
そのなかでも,
以下に紹介する“ご挨拶”は,
地方自治体のなかではいち早く,
この住基ネットに反対を表明し,
不参加を採択決議した福島県矢祭町町長から,
よせられたのものです。
これを機会に,
主権者,納税者である私たち自身の意識をさらに深めるとともに,
自治体レベルでの対応にもしっかりと目を向け,
その決議動向などを監視し,
当然の権利として意見を述べるなど,
でき得る限りの行動を起こしていきたいと思っています。
2002年10月
旧『住基ネット粉砕』緊急アピール実行委員会
事務局:田島薫(ココアスタジオ),長瀬治(編集・制作「エ・デュース」)

以下矢祭町長よりのメール↓

From: "矢祭町" <yamatsuri@town.yamatsuri.fukushima.jp>
To: "矢祭町" <yamatsuri@town.yamatsuri.fukushima.jp>
Sent: Friday, September 27, 2002 2:12 PM
Subject: 住基ネット支援メールの御礼

> 中秋の候、貴台におかれましては益々御清祥のこととお喜び申し上げます。
> 当町の県立公園矢祭山の紅葉もまもなく見頃となり、久慈川の落ち鮎のおいしい季
節 となりました。
> この度は住基ネットに係る、暖かい御支援のお言葉誠にありがとうございました。
> 全国の自治体や議会から多数の反対があったにもかかわらず、残念ながら8月5日
住基ネットは稼動され、はや2ヶ月近くが過ぎようとしております。
> 私はこのたびの住基ネットは「個人情報保護法案」、それも実効性のある法律が必
須であると考えております。
> 町としても国の法律と同等かそれ以上の条例ができないか県と協議検討中でありま
す。
>全国3300自治体の住基ネットが一斉にスタートする時点で、各自治体の体制は
整備されていなければならないにもかかわらず、人的・物的環境の整備に温度差があ
る現状で稼動したことは、危険極まりない事と危惧しております。
>少しの利便性と引き換えに、住民の情報を危険にさらすことはできないと判断し、
不参加とした次第であります。
>国民一人一人を番号で管理し、その下にあらゆる情報を集約する事は、まさに中央
集権の強化であり、地方分権と逆行するものであります。
>今後の行政においてTT技術を活用することは、重要である事も十分認識しており
ます。ですから住基・年金・税・国保など目的別番号を使用する事によりリスクが分
散され、事務の効率化も図られるのではないかと考えております。
>住民情報の適正管理を期することは、自治事務の重要な責務であります。その姿勢
やプロセスこそが信頼ある行政の根元であると考えております。
> これからも皆様に御指導賜り、微力ではありますが、地方自治のため努力をいたす
所存であります。
> 返信が大変遅くなり申し訳ありませんでした。
> 末筆ながらお身体御自愛のほどお祈り申し上げます。
>
>
> 平成14年9月26日
>
> 福島県東白川郡矢祭町長  根 本 良 一



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