5/2ののらねこ       文は田島薫



まどねことそとねこ

ゴールデンウィークの谷間のきょう、出勤すると、もちろんエサ皿は空っぽで、

定位置からずいぶん手前の離れた場所に移動していて、水のカップも空だった。

ひと粒も残すまい、って熱心になめたんだろう。

エサをたっぷり入れておいたけど、午後になっても来たのはカラスだけだった。

ねこさんたちきのうあたり何度も来たけど、きょうもないかも、って思って、

もし、見に行ってなかったら、またがっかりだから、遅めに1回だけ行ってみよう、

って考えてるのかも知れない。


少し遅刻の時間に自宅から駅へ向かう途中、以前まどから外を見ていた白ねこ、が

また同じようにしていた。

玄関横の暗い部屋のまどから、外をうらやましそうに見てるのは同じなんだけど、

今度は視線が自分ちの敷地内に向いている、それの先を辿ってみると、ちょうど

どっかから、薄茶色のねこが入り込んで来て、家の左側の方へ行こうとしてる

とこだった。

白ねこはまどからずっと、死角に入った後も(?)薄茶ねこの動きを追った。


薄茶ねこは家の横すみに入って行って、ゴミ袋をかいでみた。

食べ物を探しているようだ。


モダンなきれいな家の中で大事に飼われているねこは、外を自由に歩いている

のらねこをうらやましがっているようだけど、のらねこの方は家ねこの方を向いて

うらやましがる、ってことはないようだし、そんなこと考える頭も余裕もないのだ

ろう。

ねこにとっても、自由、って、けっこう大変なのだ。


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