8/29の日記          文は田島薫



秋の気配

昼間はまだまだ30度以上の暑さが続いているけど、夕方になるとけっこう涼しい

風が吹いて来たりして夏の終わりを感じさせる。

昼間はまだ近所の小さな稲荷神社の小さな森や、小さな庭の山桃の木や、居間の

網戸に張り付いた蝉がうるさく鳴いている。

夕方近くなると、開けておいたベランダあたりから入って来た蚊が知らぬ間に手

足のあちこちをかゆくさせる。

とっぷりと暗くなると、蝉の鳴き声は止んで、代わりにるるるる、と秋虫が鳴く。

明け方になると、一番鶏ならぬ一番ガラスが鳴く。

かーかーかー、って言ってみたり、くゎくゎくゎ、って言ってみたり、にゃー

にゃーにゃー、って、ねこの鳴き真似までやってひとりで騒いでるのがいる。

和を乱すからだめだあいつは、って、朝早く出かける仲間に置いていかれたカラス

かも知れない。

気がつくともう蝉もいっぱい鳴いている。

でも、よく聞いてみると、それほどいっぱいでもなくて、休み休み鳴いている。


そんな秋の気配を感じつつも、いつもと同じように新聞読んで、テレビ見て、

エレキギター弾いて、私はたいていずっと家の中にいる。


夕方は風呂に入って、出たらビールを飲む。

見たいテレビのない夜はたいていジャズを小さくかけてショーチュー飲みながら

読書だけど、時には音を消して虫の声を聞きながらじっと季節を味あう。

でも、たいていそういう自然鑑賞は5分もすると満足してしまうのが不思議だ。


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