今週の雑感(昔のもありの)              文はさぬがゆたか


ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
しばらく感動ものじゃなくて雑感記に変えたいとのことです。


昨年末に公園の隅っこで出会い一緒に過ごすことになった犬くんとの話し。

手荷物サイズだった彼もいつのまにかにいっちょまえの大きさに育ち、

町の定期検診と狂犬病接種でやっと立派な市民権を得た。

彼がどんな家で生まれ、どんな食事をしてきたのか知るよしもないけれど、

今一緒に過ごしているということだけで良しとしている。

あまり食がすすんでいないと思えば、ドッグフードを湯で溶いだり、ちょっと

贅沢な缶入り肉も混ぜてあげたりした。

徐々に大きくなりだし、郵便やさんぐらいにはやっと吠えるようになったものの、

あいかわらず、通りを散歩する先輩犬くん達には太刀打ち出来ないでいるみたい。


 彼も不器用なりに「お手!」「お座り!」「待て!」ぐらいは義理を感じて

修得したのはいいけれど、何をどうしたいのか「何でも噛む癖」だけがどうにも

なおらないでいる。噛むというより「噛み壊す!」という方に近い。

作業場の各種電動工具のコード、ギターのケース、仕事用羽根ぼうき、

何種類ものテープ、お気にいりの靴。それじゃって言うので庭先に出したら

今度は新芽が出たばかりの鉢植えをひっくり返すは、挿し木は全滅、たわしや

スポンジもくちゃくちゃ。ふ〜っ。まだ子供だからと多目にみていたものの、

何度叱っても数日過ぎればまた何かをしでかす。

彼が来るまでの日々は、窓先に植物が並ぶとっても大人な生活をしていたもの

なのに、今荒れはてた庭先はまるで台風の後みたいになってしまった。


 ときたま報道される「また若い母親の子供への虐待!」そんな事件にも

ある種の共感すら覚える。確立したはずだった自分の価値観への惜別(笑)

こうなったら、遠慮なしにたっぷりの愛情をあげるべきなのか、もしくは

知らんぷりも効果的なのか。

たかが一匹のワン公に振り回される。一体世間のマニアさん達はどうして

過ごしてるのか。



本当に相棒の犬がまた欲しかったのだろうか。

それまでの幻影に恋いこがれているんじゃないだろうか。

犬が替われば性格だって違うはずだし、環境への対応だってちがうはず。

それなのに、一方的な自分だけの価値観ですったもんだの連続を繰り返す日々

に疲れはてる。

まるで、アンバランスな恋物語みたいに感じるこのごろなんです。


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