今週の雑感(昔のもありの) 文はさぬがゆたか
ソノ世界的イラストレータ・サニーはココアメンバーですが、
ふだんのアート作業を栃木でやっていて、そこからの田舎だよりです。
しばらく感動ものじゃなくて雑感記に変えたいとのことです。
「友の旅たち」
このコラムでも一昨年にとり上げたことがあった友人の話し。
(2002年12/6号掲載)
イガグリではな垂れ少年だった頃からの幼友達が亡くなった。
今年の春先にはまだ居酒屋で一緒に飲んでいたのに、あっと
いうまにいなくなってしまった。小学生の頃から腕っぷしが強く
近隣の学校を含め、圧倒的存在の番長だった男があっけないくらい
の早さで太く短い人生にしてしまった。
担任の先生が泣くほど困らせ続けたワルだったのに、社会人に
なってからの彼は一代で大きな塗装板金修理会社を経営するまでに
頑張った。きっぷが良く面倒見が良く酒もたらふく飲んで、時々
喧嘩をしたらしいが、強がって納得のいかない相手とだけだったらしい。
最後になった居酒屋でのシーン。
「背中や腰が痛いんだって?自由に立てないんだって?」
「じゃ〜今なら殴っても逃げられるなあ(笑)」と自分が言えば
「馬〜鹿!まだ両手は元気だ。捕まえたら承知しね〜ぞ(笑)」と
大笑いしていた。
次ぎに彼の顔を見たのは、お棺の中で微笑む通夜の席だった。
すごい早さで癌に侵されていたのに、仕事を休まない彼の真面目さが
今となっては腹ただしい。もっとずるくやれば良かったのに、中学生の
時みたいに可愛いくズルすれば良かったのに。
数日たって、深夜に渡良瀬の草原に車で行った。草の匂いとわずかな星空
の他は誰っこ一人いない。普段なら恐いくらいの暗闇と夜空なのに、なんだかね
大丈夫なんだわ。
「お〜い、そっちの世界はどうだね〜〜?」っと思った。