新連載●文はクボユーシロー

俳優4



(ショーン・ペンその2)

映画『ミスティック リバー』の題名を『ミステリック リバー』と勘違いして

いた人は少なくないはず。何を隠そう恥ずかしながら僕もそうでした。ミステリー

映画なのだからそう思い違ってもしょうがないと逆にえばっている。まあ、そんな

事はどうでも良い話である(なら書くな)、問題は俳優『ショーン・ペン』さんである。

僕は最初この映画の主役が誰だか分からなかった。『ショーン・ペン』は元々町の

チンピラで今は更生しその町で食料品屋のおやじをやっている、そんな役どころ

である。この映画には3人の幼なじみが主役クラスとして出ていて、その中の一人に

『ショーン・ペン』がいる。他の二人も映画を見る人によっては『主役』と感じるに

十分な存在感を持った演技をしていた。しかし、映画の中での露出頻度から言ったら

『ショーン・ペン』が一番なのかもしれない。僕が彼を主役と思うのはその露出の長さ

だけ。しかし、彼の役はもと人殺しのチンピラ上がりでなおかつ、映画の最後でまた

人を殺すのである。そんな役どころがアメリカ映画で主役とは少し違和感を感じた。

『ショーン・ペン』は高校を卒業してすぐ映画界に入ったらしい、若い頃の彼の役は

僕のイメージにもある若いギャングや西部劇の悪役などが多かったらしい。そして、

この映画の終りのほうのシーンで彼が人を刺し殺し、川に落とすところがある。

その時の彼の台詞が面白い。『この歳になってこんな事をするとは思ってなかった』

である。コレは彼のこの映画内での話でもあり、彼の役者としての今までを踏まえた

話でもあると、きっとアメリカの観客はすぐに気付くのであろう。夜、仲間と共に

革ジャンパーを着て、人を刺し殺して川に蹴落とす。『ショーン・ペン』はいくつに

なってもこんな役どころがピッタリの役者さんであると思うのは僕だけでないはず。

終り


戻る