きょうの主張             文は田島薫



(イラク日本人人質事件について2)

イラクでの日本人人質は3人と、その後の2人も続けて解放された。

人質になった彼らが米国の政策に反対し、イラク人の立場に立った活動をしている

ことが武装グループに確認されたことが解放の一番の理由のようだ。


日本政府も動いたのだろうが、直接的にはイスラム教指導者たちや、日本からたまたま

帰国した民間イラク人などの世話で解放が実現し、アルジャジーラテレビの前で、

イラク人が高遠さんらのイラクの子供などへの人道活動をほめたたえ、今後も活動を続け

てほしい、と言った。

高遠さんが、ひどいめにも会ったけど、イラク人をきらいになれない、って言い泣いた時、

そばにいて通訳していたその民間イラク人も泣いた。


日本政府は首相、外相らは、解放されよかったと言いつつも、民間人のイラク入りを咎めた。

一般国民の多くも3人やその家族に対して批判したらしい。

イラクのあんな危険なところにわざわざ出かけてたくさんの人に迷惑をかけるじゃないか、

最初から行かなければ、なんの問題も起きないのに、っていうわけなのだろう。


ところがその危険ってなんだ、と言えば、戦後復興といいながら、独善的占領を続ける

米軍に反感を持ったイラク人の当然の抵抗に対して米軍は過剰な武力攻撃をし、

ファルージャでは数日間に罪のない民間人を600人以上殺したため、一帯では当然、

米国排斥運動が起き、米国に追従する国の人間は殺害などの対象になる、ってことなのだ。


ファルージャの住民の立場に立てば当然の反応だろう、最初からテロ集団が集まる危険な地域

があったのではなく、一般地域を米国が危険な地域に変えてしまったのだ。


イラク人に感謝されるような実質の伴わない存在の自衛隊をいくら人道援助、ってかけ声

かけ続けたって、実は米国の御機嫌取りをしてるだけだっていうことが見すかされ、これから

現実に米軍の物資輸送などしたら、ますますイラク人には通じないだろう、ってことをしている

政府が民間人は出る幕ではない、政府にまかせておけばいいのだ、ってだれが言ったって、

それはすべて、他国人の不幸は自分と無関係だ、と言うただの「馬鹿発言」だ。




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